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「イッチー&スクラッチーみたいな死に方を」エグいのに思わず笑顔『THE MONKEY/ザ・モンキー』パーキンス監督インタビュー

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ライター:#BANGER!!! 編集部
「イッチー&スクラッチーみたいな死に方を」エグいのに思わず笑顔『THE MONKEY/ザ・モンキー』パーキンス監督インタビュー
オズグッド・パーキンス監督『THE MONKEY/ザ・モンキー』© 2025 C2 MOTION PICTURE GROUP, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
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「“宿命感”みたいなものは『オーメン』からの影響が強い」

――本作を観て最初に感じたのは、「クリープショー」の不気味さでした。そして“偶然の連続”のように見える死に様は、『オーメン』(1976年)を彷彿とさせます。そうした作品の影響はありますか? ミレニアル世代は『ファイナル・デスティネーション』シリーズ(2000年~)を思い出すかもしれませんが……。

『オーメン』からの影響はかなり色濃いね。どんな作品を作るにも、僕に多大な影響を与えた過去の名作や巨匠へのオマージュを捧げるようにはしている。(バーニー・ライトソンが描いた)「クリープショー」のコミックに関しては、キングの世界観をすごく体現したものだと思っていて。“グロいのに楽しい”みたいな、その嬉々とした楽しさを描いているビジュアルが、すごくキングっぽくて素晴らしいんだ。

だからこの映画には「クリープショー」的な要素は多分に含まれているけれど、そもそも『ファイナル~』に関しては世代が違うのであまり興味がなくて、観てもいないよ。でも『オーメン』はフェイバリット作品の一つだし、(脚本家の)デヴィッド・セルツァーは僕のメンターでもあって、昔から色々と面倒を見てくれている。だから僕にとって大切な作品だし、起こるべくして起こったという“宿命感”みたいなものは『オーメン』からの影響が強いね。

『THE MONKEY/ザ・モンキー』© 2025 C2 MOTION PICTURE GROUP, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

「バッドテイストなもので気分を害させないために、グッドテイストが必要なんだ」

――その“グロいのに楽しい”という感覚に繋がる部分かと思いますが、本作は登場人物たちの死に様が強烈でありながらも、目を背けるほどのゴア描写ではなく、ユーモアも満載です。もっとグロテスクに描くこともできたかと思いますが、そうしたシーンのバランスについては、どう考えていましたか?

登場人物が死んでいくシーンのなかで意識した雰囲気はチャック・ジョーンズ、つまりバッグス・バニーやワイリー・コヨーテ、ロードランナーのような可笑しさであったり、あるいは『ザ・シンプソンズ』のイッチー&スクラッチーだったりを意識した。つまり、観客が観ても感情を害することがないような死に方だね。バッドテイストなもので気分を害させないためには、そういうグッドテイストが必要というか(笑)。

つまり現実ではあり得ない、観客が「じつは私の叔母が実際そういう死に方をして……」みたいなことには絶対にならないものというか、そういう馬鹿げた死に方を描いている。僕自身が、ちょっとあり得ないような状況での身近な死を見てきているからね。だからバッドテイスト的に描くためにはセンシティブに、つまりカートゥーンとして描かないといけないと思って作っているよ。

『THE MONKEY/ザ・モンキー』© 2025 C2 MOTION PICTURE GROUP, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

誰しもが“いずれ人は死ぬんだ”ということを受け止めなければならないけれど、それが厳然とした事実であるからといって、死んだような思いで生きる必要はない。だからこそリアルではない、まるでパペット劇を観ているかのような雰囲気を意識して作ったんだ。

オズグッド・パーキンス監督『THE MONKEY/ザ・モンキー』© 2025 C2 MOTION PICTURE GROUP, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

『THE MONKEY/ザ・モンキー』は9月19日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー

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『THE MONKEY/ザ・モンキー』

双子の少年ハルとビル兄弟は父が遺した持ち物から、ぜんまい式のドラムを叩く猿のおもちゃを見つける。その頃から周囲で“不慮の事故死”が相次いで起こり始める、最初はシッターのアニーが、ほどなくして母親が亡くなった。ハルはふたりが死ぬ前にこの猿がドラムを叩いていたことに関連があるのではないかと気味悪がっておもちゃを切り刻んで捨てるが、気づくと元どおりとなって戻ってきた。
母の死後、兄弟を引き取ったチップ伯父さんが“普通じゃない狩りの事故”で死んだことで、兄弟は猿を枯れ井戸へと葬った――つもりだった。
それから25年の時が経ち、一度は結婚し息子をもうけたハルだが、猿が戻ると身近な誰かが死ぬと思い、家族とは距離を置きビルとも疎遠になっていた。しかしそれは起こる。今度はアイダ伯母さん“気味の悪い事故”で亡くなったのだ。遺品整理で伯母の家を訪れたハルは、あの猿が戻ってきたことを確信する。

監督・脚本:オズグッド・パーキンス
原作:スティーヴン・キング
製作:ジェームズ・ワン

出演:テオ・ジェームズ、タチアナ・マズラニー、クリスチャン・コンヴェリー、コリン・オブライエン、アダム・スコット、イライジャ・ウッド

制作年: 2025