世界で再評価が高まる“ぽっちゃり”カンフー・マスターといえば?サモ・ハンの魅力全開『燃えよデブゴン』
夏だ! カンフーだ! サモ・ハンだ!!
1978年の『燃えよデブゴン』(原題:肥龍過江/英題:Enter the Fat Dragon)は、ご存知サモ・ハン・キンポーが監督・主演を務めたカンフー映画。かつて自身も出演したブルース・リー作品へのオマージュと、のちの“ブルースプロイテーション”現象への風刺を込めたアクション・コメディだ。
『燃えよデブゴン』© Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
いつ観ても最高!『燃えよデブゴン』の魅力
日本では80年代のTV放送で人気を集め、盟友であるジャッキー・チェン作品と並び今も絶大な人気を誇る『燃えデブ』。欧米のレビューサイトでも「サモ・ハンの初期の傑作」「笑いとアクションの絶妙な融合」などと高く評価されていて、とくに世界の共通言語である“ブルース・リーへのオマージュ”をユーモラスに披露したサモ・ハンは、ジャッキーに次ぐ知名度を誇る。
つい最近もクライテリオン・コレクションの動画サブスクで出演作が特集されるなど、幅広い世代に愛される(準備はできている)サモ・ハン。見た目に反してキレキレな身のこなしと、時代を問わず笑いを誘うテッパンのユーモア、可笑しみを通り越して最高にクールな“なりきり”ぶりは、国境も言葉も超えた感動をもたらしてくれる。
香港カンフー映画界のチャップリン? 世界で高まる再評価
『燃えデブ』を幼少期にテレビ鑑賞した私たちがしっかり内容を記憶しているのは、あえて例えるなえらば“コミックボンボン”的なキャッチーなキャラクター性のおかげでもあるだろう。また、複数台のカメラ撮影と巧みなズーム演出も特徴で、アクションの流れを途切れさせない編集も秀逸だ。
『燃えよデブゴン』© Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
そんな本作は、欧米~香港の批評家の間では“80年代の黄金期を先取りしたアクション・コメディの原型”と評されている。とくにサモ・ハンの多才さ(監督・脚本・主演・武術指導など)は特筆すべきもので、“香港映画界のチャップリン”なんて声も。もちろんブルース・リー作品の単なるパロディではなく、とくに『ドラゴンへの道』への愛情や映画界への風刺も込められていることから、“武術×コメディ”映画の先鞭をつけた偉人として認知されているようだ。
『燃えよデブゴン』© Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
なお、アメリカで『燃えデブ』が正式にソフト販売されたのは90年代末で、ポリスアクションドラマ『LA大捜査線 マーシャル・ロー』(1998年~)のヒットが再評価の契機となったと思われる。ちなみにドイツでは2019年にBlu-rayがリリースされたのだが、複数バージョン(香港版、国際版、ドイツ劇場版)が収録されるなど、欧米のオタクは気合が入っているなと感心してしまう。
『燃えよデブゴン』© Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
現在73歳のサモ・ハンだが、今年日本でも大ヒットした『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』でも、その勇姿を見せてくれた。『トワウォ』でカンフー映画にハマった人も、かつてのカンフー映画熱を取り戻した人も、ぜひ『燃えよデブゴン』を改めて鑑賞してみては?
サモ・ハン主演『燃えよデブゴン』、ジャッキー・チェン主演『レッド・ブロンクス(地上波吹替版)』は、CS映画専門チャンネル ムービープラスで2025年8月放送