“筋肉と愛欲”が怒張するガチムチ・ボディビル・ラブ!痛みを乗り越えた俳優&監督が明かす『愛はステロイド』制作秘話
『ミッドサマー』『シビル・ウォー アメリカ最後の日』や『関心領域』など、観る者の心に焼き付いて離れないジャンルレスな映画を数多く手がけてきたスタジオA24が新たに贈る規格外のクィア・ロマンス・スリラー『愛はステロイド』が、8月29日(金)より全国ロードショー。
前作『セイント・モード/狂信』で長編デビューを飾り、鮮烈な存在感を放ったローズ・グラス監督の最新作『愛はステロイド』は、1980年代末のニューメキシコを舞台にした“筋肉×恋愛”の異色スリラー。ボディビルダーを目指すジャッキーと、寡黙なジムスタッフ・ルーの切なくも激しい恋愛模様を描き、さらに大胆にジャンルを超えた新たな世界を構築している。
ということで今回は、“愛と欲望”のグレーゾーンを独自の視点で切り取った本作について、グラス監督や主演クリステン・スチュワートらの言葉を引用しつつ、じっくり紐解いていこう。
『愛はステロイド』© 2023 CRACK IN THE EARTH LLC; CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED
「愛は時に美しくも、身勝手で破滅的な側面を持つ」
ローズ・グラス監督は自身がバイセクシャルであることを公言しており、彼女の作品には常にリアルで繊細な愛の形が映し出される。前作では“信仰と狂気”をテーマにした彼女だが、今作では「ブラックユーモアをたっぷり詰め込みつつ、俗っぽくも熱狂的な大衆小説のような作品を目指した」と語る。
愛は時に美しくも、身勝手で破滅的な側面を持つ。『愛はステロイド』はそのグレーな感情の境界線を大胆に描きました。
そう語るグラス監督いわく、孤独を抱える誰かに向けて「孤独がつらいなら、恋をしてみなよ!」と挑むような力強いメッセージも込められているという。
『愛はステロイド』© 2023 CRACK IN THE EARTH LLC; CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED
クリステン・スチュワート「この役を他に誰が演じられる?」
ルー役には、『トワイライト・サーガ』で世界的スターとなったクリステン・スチュワートを起用。グラス監督は「彼女以外にルーを演じられる人はいない」と断言するも、当初、スチュワートのような大スターであれば、自分の長編2作目となる映画プロジェクトに出演することに不安を持つのではないかと心配していたそうだ。
『愛はステロイド』撮影メイキング© 2023 CRACK IN THE EARTH LLC; CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED
しかし、2人はやり取りを始めてすぐに共通の感性とユーモアのセンスがあることに気づいたという。
クリステンは本当に信じられないほど現実的な人なのです。早い段階で彼女と話したとき、彼女がこう言ったのを覚えています。「時々、この役を受けるかどうか迷うこともありますが、あなたの台本を読んだとき、“この役を他に誰が演じられる?”と思いました」とね。
さらにクリステンは、ルーについて「静かに、けれど圧倒的な力を秘めた女性。抑えきれない熱量が岩のような強さにぶつかり砕く、このダイナミズムは初めての体験」と、複雑なキャラクターに挑んだことを振り返る。
『愛はステロイド』© 2023 CRACK IN THE EARTH LLC; CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED
『愛はステロイド』
1989年。トレーニングジムで働くルーは、自分の夢をかなえるためにラスベガスに向かう野心家のボディビルダー、ジャッキーに夢中になる。しかし、町で警察をも牛耳り凶悪な犯罪を繰り返す父や、夫からDVを受け続ける姉を家族に持つルーの身の上によって、ふたりの愛は暴力を引き起こし、ルーの家族の犯罪網に引きずりこまれることになる。
監督・脚本:ローズ・グラス(『セイント・モード/狂信』)
共同脚本:ヴェロニカ・トフィウスカキャスト
出演:クリステン・スチュワート(『スペンサーダイアナの決意』)、ケイティ・オブライアン(『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』)、エド・ハリス(『トップガンマーヴェリック』)、ジェナ・マローン(『メッセンジャー』)
| 制作年: | 2024 |
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