「座り込んで泣いてしまった」鬼才監督に“小道具作り”まで託された若手俳優が明かす『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』制作秘話

「役を得られなかったとしても、監督に会えただけで十分」

アンダーソン監督は「ミアがキャスティングされた瞬間、リーズルが完成した」と絶賛するが、役が決まったあとも、スレアプレトンは徹底的にリーズルに向き合ってきた。

役が決まってからベルリンに向かうまでの約3ヶ月間、時間をフルに活用して一気に役にのめり込んでいきました。カトリック教会の助祭の話を聞きに行ったり、衣装合わせのためにローマを訪れたり、現地でカトリック文化に触れたり、聖書を読んだりもしました。ウェスとも聖書の一節について語り合いましたし、役作りのために取り組んでいることをリストにして送って、確認してもらったこともあります。

『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』© 2025 TPS Productions, LLC. All Rights Reserved.

しかも、アンダーソン監督はリーズル役を演じるだけでなく、小道具作りまでスレアプレトンに託していたというから驚きだ。

ウェスの指示を受けて“殺人調査ファイル”を作りました。台所の床を使って、何度も試行錯誤を繰り返しながら、まるで殺人現場のように見えるセットを作って、カウンターの上から写真を撮ったりして。しばらくの間、キッチンの床全体が殺人事件の捜査現場のようでした。

『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』Courtesy of TPS Productions / Focus Features © 2025 All Rights Reserved.

そんなアンダーソン監督との仕事について、スレアプレトンは「一生忘れられない経験になった」と語る。

あれほど優しく、想像力にあふれたひとに会ったのは初めてでした。たとえこの役を得られなかったとしても、会えただけで十分と思えるほどのひと。自分がどうしたいのかがとても明確で、あのレベルの明瞭さは、これまで目にしたことがありません。

ウェスはテイク数がかなり多いけれど、やりたいことが明確な上に、どうやってたどり着くかも理解しているので、私たちも納得して取り組むことができます。なにより、いつ質問を投げかけてもいいような余裕を見せてくれるし、話し合いにも常にオープン。素晴らしくて、とても優しいひとです。一緒に仕事ができて本当に幸運でした。

『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』Courtesy of TPS Productions / Focus Features © 2025 All Rights Reserved

共演者のセリフまで完璧に脚本を覚えて現場に臨むほか、小道具の製作にも携わるなど、全身全霊で本作に挑んだスレアプレトン。豪華キャスト陣に引けを取らない存在感を、ぜひスクリーンで確かめよう。

『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』は9月19日（金）よりTOHOシネマズ シャンテ、渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開

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