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反発が高まる「犬食文化」と有名な「犬の怪談」をミックスしたベトナム発ホラー『狗神の業(カルマ)』がグロ怖い!

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ライター:#BANGER!!! 編集部
反発が高まる「犬食文化」と有名な「犬の怪談」をミックスしたベトナム発ホラー『狗神の業(カルマ)』がグロ怖い!
『狗神の業(カルマ)』©︎2023 89S GROUP. ALL RIGHTS RESERVED.
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ベトナムで国産ホラーとして最高成績を打ち立てたという映画『狗神の業(カルマ)』が、ついに日本上陸を果たす。“狗(いぬ)”とタイトルに冠しているだけにワンコが重要な役割を果たすのだが、“犬肉(ティット・チョー)”が大きなテーマと聞けば、急に不穏なバイブスを感じるだろう。

『狗神の業(カルマ)』©︎2023 89S GROUP. ALL RIGHTS RESERVED.

恐怖の象徴「チャオドイノンメ」とは

本作がメインテーマに選んだ「チャオドイノンメ」とは“傘をかぶった犬”という意味で、その実態は犬に化けた悪魔。犬の姿では二足歩行が難しいため杖をついているそうなのだが(無理に立つ必要はないのではというツッコミは無粋)、ときには人間の魂を喰ってしまうというから恐ろしい存在だ。

『狗神の業(カルマ)』©︎2023 89S GROUP. ALL RIGHTS RESERVED.

方向性を間違えたゆるキャラのような見た目のチャオドイノンメだが、ベトナム戦争時に拷問された数万人の政治犯の霊が漂うと言われる刑務所や、怪奇現象の多発によって一棟まるまる取り壊しになったマンションなどの恐怖エピソードに事欠かないベトナムでも、とくにお馴染みの“恐怖の象徴”ということのようだ。

犬の怪異といえば日本では、山岳地帯に出没するという送り犬や、あるいは水木しげる先生の描いた山犬や犬神なんかが思い浮かぶ。それこそチャオドイノンメも見た目的には水木先生の描く“かわうそ”が近いのだが、70年代に出版された「鬼太郎のベトナム戦記」には、それらしい妖怪は出てこなかったかと思う。

ちなみに伝承におけるチャオドイノンメの存在に付随するエピソードはやけに豊富かつ詳細で、赤い鼻の白い犬は飼わないほうがいいとか、飼い主の目を盗んでハンモックでくつろぐとかいった“不吉な言い伝え”のほかは、とにかく不可解で邪悪なイメージが付きまとっている。併せて呪術や祈祷などが対抗策として語られることが多いのも、まさに“東南アジアの怖い話”といった感じだ。

『狗神の業(カルマ)』©︎2023 89S GROUP. ALL RIGHTS RESERVED.

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『狗神の業(カルマ)』

ナムは父の葬儀のために、婚約者のスアンと共に故郷へ帰省する。しかし、実家が経営する犬肉店やスアンの妊娠をめぐって口論となり、家族の非情な態度と不穏な雰囲気に次第に不快感を覚える。葬儀の日の夜、ナムは夢を見る。夢では、まるで売られる前の犬のように家族全員が殺され吊るされており、その傍らで「一族全員が殺される」と亡くなった父が言い放つ。その言葉通りに不可解な出来事が起こり始め、家族は次々と犠牲になっていくのだった。

以前同じように家族を亡くした別の犬肉店の娘・ライは「赤い鼻の白い犬に気をつけろ」と警告する。それは、ナムの実家にいる番犬と同じ特徴で…。“犬肉“を生業とする一族に継承される“業“が、家族を飲み込んでいく─。

監督:ルー・タン・ルアン
出演:クアン・トゥアン、ミー、ヴァン・ドゥン、ナム・トゥー、ハン・トゥイ、キム・スアン

制作年: 2023