権力や悪徳を批判しまくり!「今さら“知らない”なんて言えない」伝説の音楽家たちが映画になって日本上陸
『ロジャー・ウォーターズ「ディス・イズ・ノット・ア・ドリル:ライヴ・フロム・プラハ」』
イーノとウォーターズの功績
1970年代初頭にロキシー・ミュージックのメンバーとしてキャリアをスタートしたブライアン・イーノ。50年以上にわたりアンビエント音楽の先駆者でありつづけ、また革新的なプロデューサー、そして思想的アーティストとして多面的な活動を展開してきた。
そのキャリアはジャンルの枠を超え、音楽とアートの融合を追求する実験的な姿勢に貫かれている。いわゆる“環境音楽”の可能性を切り拓き、プロデューサーとしてもデヴィッド・ボウイの「ベルリン三部作」など数々の名盤に関与し、音楽の構造そのものに変革をもたらした。
ロジャー・ウォーターズは言わずもがな、英ロックバンド<ピンク・フロイド>のメンバーであり、1965年の結成からベーシスト、作詞家、コンセプトリーダーとして、とくにシド・バレット脱退後にはバンドのハンドルを握る重要な存在だった(そして大いに揉めた)。
彼の作品は一貫して<反戦、反権威、反資本主義>のメッセージを含み、その根底には父親を第二次世界大戦で亡くした個人的な体験があるという。名作「The Wall」(1979年)では教育制度への批判を、「Animals」(1977年)では資本主義社会の階層構造を寓話的に描き、ソロ活動後もメディア操作や戦争の不条理を鋭く批判している。
腐敗や悪徳を痛烈に批判する“怒れる音楽家”としての姿
イーノとウォーターズの共通する直近のメッセージとして、ロシアやイスラエルの侵略行為に対する痛烈な批判がある。ベテランアーティストらしい皮肉の効いた“制裁”はインパクト十分で、多くのメディアでも報じられた。
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まずイーノは、マイクロソフトがIDF(イスラエル国防軍)に戦争用AIを提供したことを咎め、自身が作曲したWindows95の起動音への報酬をパレスチナ支援に寄付するとコメント。そしてウォーターズは、BDS(イスラエルへのボイコット・投資撤退・制裁運動)を支持しており、ライブパフォーマンスでもファシズムを明確に批判している。
常に社会の矛盾や権力構造に対し鋭い問いを投げかけ、賛否を巻き起こしながらも様々なアーティストやリスナーに大きな影響力を与え続けてきたイーノとウォーターズ。7月公開の2作を観れば、それぞれに異なる新たな印象を抱きつつも、思わず前のめりでスクリーンを凝視してしまうだろう。
『ロジャー・ウォーターズ「ディス・イズ・ノット・ア・ドリル:ライヴ・フロム・プラハ」』