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燃える!泣ける!アメコミ好き「じゃなくても」絶対に観るべき映画『スーパーマン』が傑作である理由【ネタバレなし】

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ライター:#BANGER!!! 編集部
燃える!泣ける!アメコミ好き「じゃなくても」絶対に観るべき映画『スーパーマン』が傑作である理由【ネタバレなし】
『スーパーマン』© & TM DC © 2025 WBEI
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クセ強な“緑色”ヒーローとは? あの悪役はどう描かれる?

もう一人、本作のユーモアを大きく担うのがグリーン・ランタンことガイ・ガードナーで、金髪オカッパ頭が特徴。「ガイ・ガードナーって誰?」な人にとってはとっつきにくいキャラデザインかもしれないが、最後には彼の大ファンになること間違いなしなのでご安心を。

そんなガードナーの所属する<ジャスティス・ギャング>は、同じくジェームズ・ガンが手掛けるドラマ『ピースメイカー』シーズン2へとつながっていく重要な存在で、ミスター・テリフィック(演:エディ・ガテギ)の無双ぶりは本作のハイライトの一つ。イザベラ・メルセドのハスキーボイスがどハマりなホークガールも“ここぞ!”な活躍を見せ、今後ファンが爆増すること間違いなしだ。

『スーパーマン』© & TM DC © 2025 WBEI

生粋のオタク体質で知られるガン監督だけにアクションシーンはコミック由来のケレン味たっぷりで、思わず握り拳な展開が満載。そもそも監督自身がスーパーマンの大ファンであるからこそコミックへのリスペクトが感じられるし、スーパーマンの相棒でもあるスーパードッグ<クリプト>の存在もスパイスとして効いていて、ファンが急増しそうな愛らしさ。なかなか荒唐無稽なワンパクぶりを見せてくれるが、その存在はクライマックスへの大きなフリにもなっているので注視しておこう。

『スーパーマン』© & TM DC © 2025 WBEI

なお、公式玩具の販売CMによって「新作のヴィラン判明か!?」と噂された“KAIJU(怪獣)”もイイ仕事をしてくれるのだが、もちろん真の敵は悪の天才科学者レックス・ルーサー(演:ニコラス・ホルト)。これまでジーン・ハックマンやケヴィン・スペイシー、ジェシー・アイゼンバーグら錚々たる俳優が演じてきた名悪役だが、本作では時代を反映したであろう「粘着的にスーパーマンのことを忌み嫌っている」感がかなり強め。とはいえ、そんな人物にすら「完全に嫌いになれない」感情移入の余地を残しているのがガン監督らしさであり、複雑な人間性を描くことで単純な分断構図を避けようという狙いも感じられる。

『スーパーマン』© & TM DC © 2025 WBEI

「何を選び、何をするのか、それが本当の自分を決めるんだ」

本作に対して当初、ガン監督らしいシニカルさで“暴走する正義”(という詭弁)にスーパーマンを当てはめたのかな……という危惧もあったが、まったくそういうことではなかった。スーパーマンが心の底から叫ぶ「命が奪われているんだ!」という言葉、その行動原理に勝る政治的・道徳的レトリックなど存在しないのだから。

「正しい・善いこと」を真正面から訴えるのがスーパーマンであり、それこそがスーパーパワーの使いどころじゃないのか? ――本作はそんな想いを、いまやあらゆるフィクションを超えてガラガラと崩壊していく世界に対する抵抗と祈りを、精一杯のユーモアを交えて投げかける。

傷つき帰省した息子クラークに対し、父ジョナサンが言う「何を選び、何をするのか、それが本当の自分を決めるんだ(Your Choices, Your Actions, that’s what makes you who you are)」という言葉に、この映画の本質が詰まっている。ジョン・ウィリアムズによるテーマ曲がどこで流れるのか、そして本作から新たに始まる今後のDCユニバースがどうなっていくのか、大いに期待しつつ鑑賞してほしい傑作だ。

『スーパーマン』は7月11日(金)より日米同時公開

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『スーパーマン』

大手メディア「デイリー・プラネット」で平凡に働くクラーク・ケント、彼の本当の正体は人々を守るヒーロー「スーパーマン」。
子どもも大人も、愛する地球で生きるすべての人を守り救うため、日々戦うスーパーマンは、誰からも愛される存在。
そんな中、彼を地球の脅威とみなし暗躍する、最高の頭脳を持つ宿敵=天才科学者して大富豪、レックス・ルーサーの世界を巻き込む綿密な計画が動き出す――

監督:ジェームズ・ガン (「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「アベンジャーズ」シリーズ)
出演:デイビッド・コレンスウェット(『ツイスターズ』「ハリウッド」)、レイチェル・ブロズナハン(「ハウス・オブ・カード 野望の階段」、「マーベラス・ミセス・メイゼル」)、
ニコラス・ホルト『マッドマックス 怒りのデス・ロード』)

制作年: 2025