「虐殺された民族」不条理な迫害はなぜ起こった?ソ連統治下の恐怖を悲喜劇に仕立てた『アメリカッチ』
声に出して言いたい『アメリカッチ』って誰のこと?
夢に見た「帰郷」が、思いがけない「孤独」に変わってしまったら――。そんな人生の急転直下を“1940年代ソ連支配下のアルメニア”を舞台に描いたのが、6月13日(金)より公開中の映画『アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓』だ。
『アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓』©2023 PEOPLE OF AR PRODUCTIONS and THE NEW ARMENIAN LLC All Rights Reserved.
淡い記憶の中の憧れを胸に帰郷した男が直面した歓迎……ではなく逮捕・投獄という逆境。しかし本作はユーモアと哀愁を交えて、意外なほどの希望と共感とともに物語を紡いでみせる。
※アメリカッチ/アメリカッツィ=アメリカ人のこと
『アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓』©2023 PEOPLE OF AR PRODUCTIONS and THE NEW ARMENIAN LLC All Rights Reserved.
無実の罪で囚われた男は、ただ生きることを楽しみ続けた
幼少期にオスマン帝国(現在のトルコ)でのアルメニア人に対する迫害から逃れるためにアメリカに渡ったチャーリーは、1948年、自身のルーツを知るために祖国に戻ってくる。ソ連統治下にあっても理想の故郷に思えたからだ。
『アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓』©2023 PEOPLE OF AR PRODUCTIONS and THE NEW ARMENIAN LLC All Rights Reserved.
ところがチャーリーは不当に逮捕され、収監されてしまう。悲嘆に暮れる中、牢獄の小窓から近くのアパートの部屋が見えることを知り、そこに暮らす夫婦を観察することが日課になっていった。
『アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓』©2023 PEOPLE OF AR PRODUCTIONS and THE NEW ARMENIAN LLC All Rights Reserved.
いつしかチャーリーは夫婦の生活に合わせてあたかも同じ空間にいるかのように、一緒に食事をし、歌を歌い、会話を楽しんだ。しかし夫婦仲がこじれて部屋には夫だけが残され、時を同じくしてチャーリーのシベリア行きが決まってしまう。
移送の期限が迫る中、チャーリーによる夫婦仲直り作戦が始まる――。
『アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓』©2023 PEOPLE OF AR PRODUCTIONS and THE NEW ARMENIAN LLC All Rights Reserved.