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「“害獣”に理性を喰われた男」「“夢の我が家”がトラウマに…」じわじわと精神を蝕む〈侵食系〉の恐怖とは?

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ライター:#BANGER!!! 編集部
「“害獣”に理性を喰われた男」「“夢の我が家”がトラウマに…」じわじわと精神を蝕む〈侵食系〉の恐怖とは?
『マッド・ティース』© 1983 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
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静寂の中に潜む侵略者~精神的スリラー×都会生活~

本作の見どころは、自ら建てた家という安全圏であるはずの“宝”が、徐々に侵食されていく恐怖だ。問題の“相手”はほとんど姿を見せないが、その痕跡や破壊行為がじわじわと一家の生活を蝕んでいく。主人公と共に不安と苛立ちを募らせた観客も、やがて彼の狂気に巻き込まれてしまう。

1983年という公開年にも注目したい。この年はジョン・カーペンターの『クリスティーン』やスティーヴン・キング原作の『クジョー』、そしてデヴィッド・クローネンバーグの『ビデオドローム』など、身体性や狂気をテーマにしたホラー作品が多く登場した。『マッド・ティース』もその流れの中にあり、都市生活者の不安や孤独をホラーという形で描き出している。

本作はスティーブン・キングもお気に入りのホラー映画の一つに挙げているというから、ホラーファン的には必見の作品と言えるだろう。ちなみに本作はカナダとアメリカの合作で、主にモントリオールで撮影された。ピーター・ウェラーにとっては初期の主演作であり、ここで見せた熱演が後の『ロボコップ』でのブレイクに繋がったとも言われている(?)。

本作は派手な演出こそないが、静かな狂気と密室の恐怖をじわじわと描く異色作。80年代ホラー映画の中でも都市型パニックと心理的な恐怖を融合させ、今なお異彩を放つ名作だ。

『マッド・ティース』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2025年6月放送

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