非公式かつ非紳士的!実在した「対ナチス部隊」とは?戦争映画にマカロニ音楽がハマる『アンジェントルメン』
アラン・リッチソンに注目! クセ者揃いの“非紳士的な戦争省”の仲間たち
リッチー作品らしく、“非紳士的な戦争省”のメンバーはなかなかのクセ者揃い。不遜な態度で軍上層部には不人気だが、仲間思いで腕が立つという格好よすぎるチームリーダーのガス(ヘンリー・カヴィル)を筆頭に、クールな船乗りヘイズ(ヒーロー・ファインズ・ティフィン)、潜水工作員で爆破のプロでもあるフレディ(ヘンリー・ゴールディング)、電気ショック拷問などものともしない武闘派計略家アップルヤード(アレックス・ペティファー)、ナチス指揮官を誘惑するためジャズ・スタンダードの「マック・ザ・ナイフ」を大熱唱するマージョリー(エイザ・ゴンザレス)、裏ビジネスを通してナチス高官に顔が利くRH(バブス・オルサンモクン)、英国名門私立校卒の武器商人KB(ダニー・サパーニ)など個性的なキャラが続々登場。
『アンジェントルメン』© 2024 Postmaster Productions Limited. All Rights Reserved.
その中でも特に強烈な存在感を放っているのが、ドラマシリーズ『ジャック・リーチャー ~正義のアウトロー~』(2022年~)でおなじみ筋肉モリモリ・マッチョマンの巨漢俳優、アラン・リッチソンが演じる“デンマーク人の怪力男”ラッセンである。
『アンジェントルメン』© 2024 Postmaster Productions Limited. All Rights Reserved.
スーパーマン俳優のカヴィルすらも凌駕する規格外の巨体が画面に登場しただけで笑ってしまうのだが、劇中では弓矢、ボウイナイフ、斧を使いこなしてナチス兵士を狩りまくり、ほかのメンバーの活躍が霞んでしまうほどの大立ち回りを見せてくれる。『ジャック・リーチャー』の視聴者はもちろん、『コマンドー』(1985年)をこよなく愛する方は、“リッチソン無双”のためだけでも本作を見る価値があるかもしれない。
『アンジェントルメン』© 2024 Postmaster Productions Limited. All Rights Reserved.
戦争映画にマカロニ・ウエスタン音楽!? これが意外と合うんです
映画が始まって早々、マカロニ・ウエスタン調の劇伴が流れて意外に思われる方も多いかもしれない。あるいは『イングロリアス・バスターズ』(2009年)のように「リッチーもエンニオ・モリコーネの既製曲を使ったのか?」と思われる方もいるかもしれない。しかし、この劇伴は英国出身の作曲家クリストファー・ベンステッドが書き下ろしたオリジナルの楽曲であり、これこそが本作を型破りな戦争映画たらしめている要素のひとつでもある。
『アンジェントルメン』© 2024 Postmaster Productions Limited. All Rights Reserved.
ベンステッドは『ジェントルメン』以降の全てのリッチー監督作で劇伴の作曲を手掛けている気鋭の音楽家(両者の初コラボは2019年の『アラジン』)。『ゼロ・グラビティ』(2013年)ではミュージック・エディターとしてアカデミー録音賞を受賞している。またチェロなど様々な楽器を弾きこなすマルチミュージシャンでもあり、本作ではギターと口笛の演奏を担当している。重厚なコーラスやパーカッション、オルガンなどを用いたマカロニ・ウエスタン調の劇伴はインパクト十分。映画を見終わったあと、しばらく頭から離れないメインテーマの哀愁の旋律が素晴らしい。
『アンジェントルメン』オリジナル・サウンドトラック
音楽:クリス・ベンステッド
発売・販売元:Rambling RECORDS Inc.
品番: RBCP-3580
一方、本作の劇伴ではジャズの要素も取り入れられている。なぜジャズなのか? それはガスがジェームズ・ボンドのモデルとなった人物とされていることや、特殊作戦執行部がMI6の前身となる組織とも言われていること、そして劇中でのイアン・フレミングの登場など、本作の内容が『007』と繋がっていることに関係がありそうだ。もしかしたら本作のジャズ楽曲は、『007』シリーズや『国際諜報局』(1964年)などの音楽を担当したジョン・バリーへのオマージュなのかもしれない。
Major Gus March-Phillips was the commander of No. 62 Commando in WWII. It’s 1st operation was Operation Postmaster which was portrayed in the movie, The Ministry of Ungentlemanly Warfare. March-Phillips inspired Ian Fleming’s character of James Bond. #InterestingFacts pic.twitter.com/WThMUo9DM2
— Interesting Facts (@Interestin_Fax) May 3, 2024
また、ベンステッドが本作で「マカロニ・ウエスタンとジャズ」という異なるタイプの劇伴を組み合わせたのは、「特殊部隊のミリタリーアクション」と「潜入工作員のスパイスリラー」が同時進行する構成を音楽的に表現したものとも考えられる。趣向を凝らした劇伴にもぜひ注目して頂きたい。
『アンジェントルメン』© 2024 Postmaster Productions Limited. All Rights Reserved.
『アンジェントルメン』は4月4日(金) より全国公開
『アンジェントルメン』
第二次世界大戦中、独ナチス軍の猛攻により英国は窮地に追いこまれていた。ガス少佐(ヘンリー・カヴィル)は特殊作戦執行部に召喚され、ガビンズ‘M’少将とその部下イアン・フレミングから任務を言い渡される。
「英国軍にもナチスにも見つからず、北大西洋上のUボートを無力化せよ――」
“イカれた”メンバーを集め漁師を装い船で現地へと向かうガス。潜入工作員のマージョリー、RHらとともに作戦決行に向け準備を進めるが、予想だにしない展開により事態は暗礁へと乗り上げてしまい……。
監督:ガイ・リッチー(「シャーロック・ホームズ」「コードネーム U.N.C.L.E.」)
製作:ジェリー・ブラッカイマー(「トップガン マーヴェリック」「パイレーツ・オブ・カリビアン」)
脚本:ポール・タマシー&エリック・ジョンソン&アラッシュ・アメル&ガイ・リッチー
原作:ダミアン・ルイス著 “Churchill’s Secret Warriors: The Explosive True Story of the Special Forces Desperadoes of WWII”
出演:ヘンリー・カヴィル、エイザ・ゴンザレス、アラン・リッチソン、アレックス・ペティファー、ヒーロー・ファインズ・ティフィン、バブス・オルサンモクン/ヘンリー・ゴールディング/ケイリー・エルウィズ
制作年: | 2024 |
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2025年4月4日(金) より全国公開