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「約束を破ったのはお前か?」家ナシ金ナシ女性が特殊警棒でチンピラをボコるハードボイルド劇『リボルバー』

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ライター:#BANGER!!! 編集部
「約束を破ったのはお前か?」家ナシ金ナシ女性が特殊警棒でチンピラをボコるハードボイルド劇『リボルバー』
『リボルバー』©︎2024 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES AND STORY ROOFTOP ALL RIGHTS RESERVED.
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イ・ジョンジェも登場! 濃厚キャラから目が離せない

リアルタイムで真相を追うスヨンの姿と同時に、序盤で<トラブル発生~身代わり逮捕~ムショ暮らし>が並行で描かれ、そこで重要になるのがイ・ジョンジェ演じる“恋人”の存在。ハリウッド進出済みの大物の贅沢な出演は眼福だが、刑事だった彼が“裏切り”に関与していたのか、という謎も大きなポイントになっている。

『リボルバー』© 2024 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES AND STORY ROOFTOP ALL RIGHTS RESERVED.

スヨンを「オンニ(お姉さん)」と皮肉交じりに呼ぶチョン・ユンソン(イム・ジヨン)の敵か味方かわからない挙動も気になるし、近年のクライム映画によく登場する“実家が極太の無軌道なチンピラ”ど真ん中の輩、アンディの無責任ぶりはホームラン級。演じるのがチ・チャンウクなのでルックス的には甘めだが、分かりやすく例えると北村一輝がハマりそうなキャラだ。

『リボルバー』© 2024 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES AND STORY ROOFTOP ALL RIGHTS RESERVED.

また、堅めの役柄のイメージが強いキム・ジョンス演じる“本部長”の存在はアンディとの関係性を含め、どことなくステイサム映画『ビーキーパー』でジェレミー・アイアンズが演じた元CIA長官ウォレスを彷彿させる。絶大な権力を持つ“わるいおとな”の枯れた色気ぷんぷんで、実際いちばん怖い人でもある。

『リボルバー』© 2024 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES AND STORY ROOFTOP ALL RIGHTS RESERVED.

そして“わるいやつ”と言えばこの人、『アシュラ』(2016年)などでもおなじみのチョン・マンシクが本作で演じるチョ社長は、立ち回り重視の小悪党。なお本作はキャラ造形に一定のコダワリがあるようで、物語に直接絡まない端役にも強烈な個性を載っけつつ“匂わせて”くるのでお見逃しなく。

緊張みなぎる“非アクション”が新鮮! 女性陣の駆け引きがキモに

本作は韓国ノワールの系譜というよりも、たとえば北欧サスペンス/ミステリーのような“じっくり見せる”面白さで観客の興味を引っ張る。私立探偵のように関係者を当たり、少しずつ真相に近づいていくスヨン。登場人物ひとり一人をこってり見せる手法が効いていて、アクションは少ないがちょっとしたセリフも聞き逃がせない。撮影ロケーションもいちいち最高だ。

『リボルバー』© 2024 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES AND STORY ROOFTOP ALL RIGHTS RESERVED.

とはいえスヨンは『キル・ボクスン』のような暗殺スキルを持つわけでもないので、その言動には常に緊張感が伴う。まるで『ドライヴ』(2011年)のようなバイオレンスシーンもあるにはあるが、それよりも会話の端々に込められた“明確な殺意”がサラリと流されたりするドライな世界観のほうが恐怖を催させる。イ・ジョンジェやチョン・ヘジンの重厚な存在感はさすがだが、変なカリスマ性を載せないところも良い。

そして最後まで印象に残るのはチョン・ドヨンとイム・ジヨンの絶妙な距離感と、たまにクスリとさせる軽妙な掛け合い。すべてを失ったスヨンの非フィジカルな強さと、権力者に媚びてブツクサ言いつつも彼女を放っておけないユンソンの関係は、血みどろ韓国ノワールのなかにあってかなり新鮮だし、なんなら爽やかですらある。

イム・ジヨン、チョン・ドヨン、チ・チャンウク、オ・スンウク監督『リボルバー』撮影メイキング © 2024 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES AND STORY ROOFTOP ALL RIGHTS RESERVED.

装填弾数は少ないがシンプルな構造ゆえに丈夫で壊れにくいリボルバー。鑑賞後には硝煙の匂いを想像しつつ、安い肴をアテに1杯やりたくなること請け合いのサスペンスフルかつ滋味ある“人間”ドラマだ。

『リボルバー』は2月28日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

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