スーパースター・ラジニ、169本目の出演作
巨大監獄の元看守が家族を守るため、インド各地に散らばった「舎弟」を従え凶悪な犯罪者集団に立ち向かう姿を描く本作。「悪をもって悪を誅す」という謳い文句だが、いわば「ナメてた相手が実は……」と呼ばれるアクション映画に連なる、悲劇からの意外性でカタルシスをもたらすタイプの作品だ。10年ほど前には韓国映画『アジョシ』もタミル語映画でリメイクされているので、ジャンル的な相性は良いのだろう。
『ジェイラー』©SUN Pictures
そんな本作はラジニの169本目の出演作。ネルソン・ディリープクマール監督はラジニ本来のスター性からムトゥ役としてのヤバいオーラを見事に抽出し、史上最狂のラジニを観客に見せてくれる。ダンスシーンも狂気の演出に効果的に使われているので、プリミティブなビートと低音の効いた選曲とともに要注目だ。
『ジェイラー』©SUN Pictures
もちろん『バーフバリ』シリーズのタマンナーやラムヤ・クリシュナ、タミル語映画界の佐藤蛾次郎ことヨーギ・バーブらキャストも豪華。他にも嬉しいキャストが何人かいるが、配給の公式Xで一部紹介されているので鑑賞時のガイドも兼ねて事前にチェックしておこう。
#ラジニカーント 演じるムトゥの舎弟役として、マラヤーラム語映画界からモーハンラール、カンナダ語映画界からシヴァラージクマール、ヒンディー語映画界からジャッキー・シュロフといったベテラン俳優が集結。熱き闘いを繰り広げる。#ジェイラー 公開まであと5日🔥https://t.co/trdLHqi0V0 pic.twitter.com/eOAYX0L5cO
— 〈インド映画配給〉SPACEBOX【公式】 (@spacebox_jp) February 16, 2025
マンガ的ケレン味と飽きる暇のない超展開
本作は近年のハリウッド映画より超バイオレントで、しかもコミカルな演出で見せるという容赦のなさ。社会を構成する一つの現実として生活臭のある家族やご近所付き合いみたいなものと同列で描き、かつての暴力性を主人公に自省させつつ3時間強の中に詰め込んでいる。長尺だがアクション一辺倒ではなく、いきなり作風が変わったかのような超展開で観客を飽きさせない。
『ジェイラー』©SUN Pictures
今年75歳を迎えるラジニカーント。お馴染みの「SUPER STAR Rajini」のテーマは本作のオープニングでもしっかり提示され、ラジニありきのラジニ映画であることがインド映画門外漢にもはっきりと分かる。日本には欧米の映画メディアよりも濃厚な解説記事やレビューが多数あり熱いファンも多いが、普段ハリウッド大作や邦画を好む人にもぜひ観てほしい、マンガ的なケレン味もある痛快作だ。
『ジェイラー』©SUN Pictures
『ジェイラー』は2月21日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開
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