アンジーの人生を変えたカンボジアロケ
この映画でアンジーは一躍ハリウッドスターとなり、また女性アクションスターの仲間入りを果たした。もともとのララ役の候補リストは、デミ・ムーア、シャーリーズ・セロン、ユマ・サーマン、ミラ・ジョヴォビッチなど錚々たる顔ぶれだったが(変わったところではゲーム版ララ・クロフトのモデルをつとめたローナ・ミトラに演じさせる案もあった)、今ではアンジー以外には務まらなかっただろうと思わせる。
政情不安定が長く続いていたカンボジアで大規模ロケが敢行された『トゥームレイダー』だったが、すべてのロケにアンジーは同行している。この撮影がきっかけで彼女はカンボジアに魅せられ、後にライフワークの一つになる“戦地跡の地雷除去活動”に加わっている。また、最初の養子であるマドックスに出会ったのもカンボジアであり、いろいろな意味で彼女の人生を変えた映画である。
ゲームの名シーンを再現! 小ネタ的な描写も要チェック
ゲームの映画化ではゲームの名シーンをどれだけ入れてくるかもキモの一つだが、実は『トゥームレイダー』はゲームでおなじみのシーンを多く入れ込んでいる。銃のリロードが早くなるリロードベルトや、所持品数が増えるバックパックなどゲーム内の装備も登場、ララがアイテムを拾うときの「アーハ!」という特徴的なかけ声も再現している。
アクションシーンでの“サマーソルトキック中に銃を抜く”などのトリッキーな動きは、ゲーム版をやりこんだ熟練者ならば可能な、特徴のある動きを再現。ララが屋敷の中、ハンマーで時計を壊すシーンでは執事が銀のお盆で顔を隠しているが、あれはゲーム内の該当シーンでは執事を射撃することができてしまうのだが、そのとき彼は弾丸を銀のお盆で防ぐ。そんな小ネタ的描写も含まれているのだ。
また、ララの父親役をアンジーの実父であるジョン・ヴォイトが演じていたり、現在は大スターとなったダニエル・クレイグが敵役を演じたりしているのも見所。ちなみにクレイグの使用しているワルサーP99は後に彼がジェームズ・ボンドとして出演した『007/カジノ・ロワイヤル』(2006年)でも所持している拳銃である。
作中、神殿から蘇る多腕の女神の石像との大立ち回りシーンがあるのだが、これはどこからどう見てもストップモーションアニメの神様、レイ・ハリーハウゼンの『シンドバッド黄金の航海』(1973年)に登場する女神カーリーを彷彿とさせる。しかし、監督のサイモン・ウェストは「見たことなーい」と、その関係性を否定。このようにインタビューで監督が自作と、明らかに影響を与えた他作品の関係性を否定する光景をたまに見かけるが、何か問題があるのだろうか……?