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“オマージュ探し”不可避?映画好きも必見の短編アニメ集『藤本タツキ 17-26』劇場公開中【11/8アマプラ配信】

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ライター:#BANGER!!! 編集部
“オマージュ探し”不可避?映画好きも必見の短編アニメ集『藤本タツキ 17-26』劇場公開中【11/8アマプラ配信】
「恋は盲目」©藤本タツキ/集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会
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【Part-1】上映作品ざっくり解説

「庭には二羽ニワトリがいた。」は一瞬だけ『第5惑星』(1985年)みたいな話かな? と思わせつつ、じつは宇宙人の侵略により滅亡の危機に瀕した世界を舞台に、2人の人間の意外なサバイブ術と宇宙人との交流を描いたバイオレンス・コメディ。原作は画の粗さも目立ったが、アニメ化によって「チェンソーマン」バイブスが炸裂している。

「庭には二羽ニワトリがいた。」
©藤本タツキ/集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会

タツキ先生もお気に入りだという「佐々木くんが銃弾止めた」は、青春ドタバタ劇の着地点を逸らせまくった結果スケールのデカすぎるラストに仰天する、ファンの間でも人気の高い作品。どこか大友克洋みもありつつ、もっと強引jに言えばアラン・ムーアすらチラつかなくもないラストは衝撃。

高校生男女のSFラブコメ「恋は盲目」はカルトな名作SF『銀河ヒッチハイク・ガイド』(2005年)への目配せがありつつ、意外や昭和的なギャグアニメとしても楽しい仕上がりに。

「佐々木くんが銃弾止めた」©藤本タツキ/集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会

超エキセントリックな殺し屋少女の暴走愛を描く「シカク」は、『ドラキュラZERO』(2014年)や岩井俊二の『ヴァンパイア』(2011年)、あるいはシアーシャ・ローナン主演の『ハンナ』(2011年)なども彷彿させる設定。ジム・ジャームッシュの『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(2013年)の放蕩ムードに通じる部分もあり(※ややこじつけ)。

『シカク』©藤本タツキ/集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会

【Part-2】上映作品かけ足で解説

タツキ先生自身が“普通の話”だと言う「人魚ラプソディ」は、人間の少年と人魚の少女が海中のピアノを通して交流を深める王道の異種族間青春ロマンス。高橋留美子先生の「人魚の森」はもちろん、“歌と恋”をテーマにした2015年のポーランド映画『ゆれる人魚』なども想起させるが、これに関しては漫画執筆のほうが1年早いようだ。

「人魚ラプソディ」©藤本タツキ/集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会

日本エンタメのお家芸とも言える性別チェンジもの「目が覚めたら女の子になっていた病」は、性行為に対する憧憬と忌避感を同時に描きつつ、現代社会の極端なジェンダーバイアスや性差別への視点も感じさせる。漫画的には「奥浩哉短編集 黒」の一遍を思い出した人も多いだろう。あとY2K的な舞台背景/演出が秀逸で、特定世代のツボを突きまくるはず。

「目が覚めたら女の子になっていた病」©藤本タツキ/集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会

人ならざる妹に苦悩する兄という“忌み子”的なファンタジー譚「予言のナユタ」は、ファンの皆さんはご存知の通り「チェンソーマン」につながるキャラが登場。弐瓶勉先生の「アバラ」からの影響もよく知られているが、キャラデザに関しては「庭には二羽ニワトリがいた。」にも共通部分があって興味深い。

「予言のナユタ」©藤本タツキ/集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会

そして“満を持して”と言いたい「妹の姉」は、のちに社会現象的なヒット作となる「ルックバック」へと昇華される物語。アニメ化の比較をするのは無粋だが、「ルックバック」よりもコメディ色が強くカラッとした展開は短編ならではで、登場人物の設定等を考慮すると色んな意味で攻めた作品でもある。ちなみに短編読者は“死んだメダカを食べた”という謎の作者あとがきにドン引きしたことだろう。

「妹の姉」©藤本タツキ/集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会

『藤本タツキ 17-26』【Part-1】【Part-2】は10月17日(金)より2週間限定で公開中、11月8日(土)よりPrime Videoで世界独占配信

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