※ 本ページはプロモーションを含みます。
掲載日:2026年10月8日(2026年10月8日時点の情報)文=BANGER!!!編集部
※本記事の情報は2026年10月8日時点の情報です。最新情報は公式サイトにてご確認ください。
殺し屋の話なのに、観終わると少し機嫌がよくなっている。そんな馬鹿な、と思う人は第1話の冒頭だけでも再生してみてほしい。
『幸せカナコの殺し屋生活2』は、若林稔弥の漫画(星海社COMICS)を原作にしたDMM TVのオリジナルドラマで、2025年に配信された前作の続きにあたる。主演はのん、相棒の桜井に藤ヶ谷太輔、監督は英勉。9月17日に第1・2話が配信され、以降は毎週木曜に1話ずつ増えてきた。全5話なので、順当に進めば10月8日に最終話が出て、3連休には全5話が揃う見込みだ。
転職先がたまたま殺し屋だった、という入口
西野カナコは、ひどい職場を辞めた会社員だった。次の面接に行ったら、そこが殺し屋の会社だった。断れずに入ってみると、撃つ才能が飛び抜けていた。前作と原作が敷いたこの入口は、何度説明しても笑ってしまう。
肝心なのは、カナコが新しい職場で初めて「ちゃんと評価される」ことだ。定時で帰れる。上司が褒めてくれる。嬉しくなると、動物の名前をもじった駄洒落がつい口から出る。やっている仕事は殺しである。それなのに彼女の顔は、前の会社にいた頃よりずっと明るい。
笑っていいのか迷う。その迷いごと差し出してくるのが、この原作の底意地の悪さであり、優しさでもあると思う。働くことに一度でもすり減った経験がある人は、カナコの上機嫌を他人事として眺められない。
原作は4コマ漫画だ。一本ごとに落ちがあり、その落ちがたいてい物騒で、なのに後味が軽い。大きな陰謀で引っ張る種類の話とは作りが違う。職場に行き、仕事をし、褒められ、帰る。その繰り返しのなかに、撃つ・撃たれるが平然と混ざってくる。日常ものの顔をした殺し屋もの、と呼ぶのが一番近いと思う。
のんと英勉、この組み合わせでしか立たない芝居
のんという俳優は、台詞の内容と声の明るさが食い違うときに一番強い。朝ドラ『あまちゃん』で国じゅうが知った屈託のなさを、殺し屋の業務中にそのまま持ち込める人は、ほかに思いつかない。公開されている場面写真の一枚に、仕事中のカナコと、その横で呆然と立ち尽くす桜井を写したものがある。あの一枚で、この二人の力関係はだいたい分かる。
のんの体の使い方にも触れておく。この人は走る、転ぶ、驚くといった動きが大きくて、しかも嘘くさくならない。アニメ映画『この世界の片隅に』では、声だけで主人公の暮らしを立ち上げてみせた。台詞が少ない場面でも、カナコが何を考えているかは顔と手足が全部しゃべる。銃を構える姿が様になっているのに、次の瞬間には小躍りしている。その落差を一人の体でやれてしまう。
藤ヶ谷太輔の桜井は、口が悪くて腕の立つ先輩だ。前作から続くこの役の面白さは、カナコに調子を狂わされるたびに、怖い男の顔が崩れていくところにある。街中で楽しげにやりとりする二人の写真も公開されていて、今回は仕事の外の時間が増えるのかもしれない、と私は読んでいる。
監督の英勉は『ヒロイン失格』や実写版『賭ケグルイ』で、漫画の誇張をそのまま生身の俳優にやらせてきた人だ。現実に寄せて薄めない。4コマ漫画の間合いを映像に移すには、その度胸が要る。脚本にも英勉自身の名前がある。
新しく加わるのは森川葵、髙橋ひかる、鈴川紗由。三人がどんな立場でカナコの前に現れるのか、ここでは書かない。公式が明かしているのは、カナコと桜井が新たな事件に巻き込まれる、というところまでだ。森川葵は振り切った役で化ける人なので、私はそこに一番期待している。
合わない人は、たぶん最初の5分で分かる
人が死ぬ話を軽い調子で進めること自体が受けつけない人には、勧めない。カナコの明るさは、命の重さを脇に置くことで成り立っている。そこに引っかかったら、最後まで引っかかり続けるはずだ。
駄洒落も好みが割れる。あれを寒いと感じる人にとって、全5話は長い。逆に、あの寒さこそがカナコの人柄だと思えるなら、あとは楽しいだけになる。
もうひとつ。続編なので、人物の関係は前作の上に乗っている。カナコがなぜここで働いているのか、桜井がなぜ彼女に強く出られないのかは、前作を観ていたほうがずっと効く。時間が取れるなら前作からどうぞ。
連休のどこに置くか
全5話という短さがいい。重たい大作を観る気力はないけれど、何も観ないまま連休が終わるのも悔しい。そういう日の午後にちょうど収まる。毎週1話ずつ追ってきた人は、最終話が出たところで頭から観直すと、新キャストの出し入れがよく見えるはずだ。
配信の進み方をもう一度整理しておく。9月17日に2話、そのあと木曜ごとに1話。この調子なら10月8日の木曜が最終話の日にあたる。3連休の初日は10月10日だから、間に合う勘定だ。週に1話を待つのがもどかしかった人ほど、通しで観る楽しさは大きい。
観てほしいのは、まず仕事で疲れている人。それから、のんのコメディを待っていた人。Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔しか知らない人にも、この桜井は見せたい。受けの芝居で笑いを取れる俳優だと分かる。
DMM TVのオリジナル作品なので、配信はDMM TVの独占になる。ほかを探しても出てこない。月額は550円(税込・Webブラウザから登録した場合)で、アプリ経由の登録だと650円。初回登録の人は14日間無料で、期間内に解約すれば料金は発生しない。なお各話の配信日は予告なく変わることがあると案内されているので、最終話が出ているかどうかは再生前に作品ページで確かめてほしい。
幸せの定義は人それぞれだが、カナコのそれは相当に物騒だ。それでも彼女が笑うと、こちらもつられる。
※本記事は2026年10月8日時点の情報です。配信状況・料金・配信期間は変更される場合があります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。