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『WEAPONS/ウェポンズ』ザック・クレッガー監督のホラー映画をU-NEXT見放題で|10月9日公開『バイオハザード』の監督が前作で見せた、町ごと狂っていく恐怖
『WEAPONS/ウェポンズ』(2025年)とは、ザック・クレッガーが監督・脚本を手がけたホラー映画で、ある水曜日の深夜2時17分に同じクラスの子ども17人が自らドアを開けて暗闇へ走り出し、姿を消した町を描きます。ジョシュ・ブローリン、ジュリア・ガーナー、エイミー・マディガンが出演し、マディガンは本作で第98回アカデミー賞助演女優賞を受賞しました。U-NEXTで見放題配信中、R18+、128分。10月9日公開の『バイオハザード』でクレッガーの名を知った人、町ぐるみの恐怖が好きな人に向けた一本です。
走る子どもたちの、あの腕の角度
この映画には、一度観たら忘れられない映像があります。深夜の住宅街を、子どもたちが両腕を斜め後ろに広げ、飛行機のような格好で走っていく。監視カメラの粗い映像で、それは繰り返し映されます。叫び声はなく、追いかける者もいない。子どもたちは、自分の意思で、まっすぐ暗闇へ向かっていく。
怖いと思ったのは、そこに恐怖の表情がなかったことです。ホラー映画の子どもは、たいてい泣くか叫ぶか、あるいは不気味に笑います。『WEAPONS/ウェポンズ』の子どもたちは、そのどれでもない。ただ、走る。あの腕の角度が、観終えたあとも網膜に残りました。
消えたのは、小学校のあるクラスの生徒17人。全員が同じ時刻に家を出て、行方が分からなくなる。残されたのはアレックスという一人の少年だけ。町の人々は、当然のように担任教師のジャスティン(ジュリア・ガーナー)を疑います。何かを知っているはずだ、と。彼女は何も知りません。それでも町は彼女を追い詰めていく。この序盤の息苦しさは、ホラーというより、集団の心理を描いた社会劇のそれです。
章立てで町を歩く。クレッガーの構成の巧みさ
『WEAPONS/ウェポンズ』は、登場人物ごとの章に分かれています。担任教師のジャスティン、子どもを失った父親アーチャー(ジョシュ・ブローリン)、警官のポール(オールデン・エアエンライク)、町をさまよう若者ジェームス(オースティン・エイブラムス)、校長のマーカス(ベネディクト・ウォン)、そして残された少年アレックス。同じ夜の出来事を、別の人物の側から何度も見せられる。
この構成は、前作『バーバリアン』でも使われた手法です。観客が「この人物の話だ」と思い込んだところで、視点がまるごと切り替わる。『バーバリアン』では、その切り替えが一度きりの衝撃として機能しました。『WEAPONS/ウェポンズ』では、それが六度繰り返され、繰り返すたびに町の全体像が少しずつ見えてきます。
ある章で背景に映っていただけの人物が、次の章の主役になる。ある章で意味の分からなかった出来事が、別の章で説明される。私は二度目に観たとき、一度目には見過ごしていた画面の隅に、次の章の伏線が置かれていることに気づきました。この映画は、群像劇の構造そのものをホラーの道具にしています。
ひとつ欠点を挙げるなら、前半のじっくりした積み上げが、ホラーの即効性を求める人には長く感じられることです。128分のうち、はっきりした恐怖が画面に出るまでには時間がかかります。私はその時間を「町の空気を吸う時間」として楽しみましたが、そこで退屈する人がいることは否定しません。ただ、耐えた先の後半は、その退屈を全部回収します。
『WEAPONS/ウェポンズ』はU-NEXTで見放題配信中です。初回登録なら31日間無料(初回登録の方が対象)。10月9日の『バイオハザード』公開前に、クレッガーの前作を通しておいてください。
エイミー・マディガン、40年越しのオスカー
この映画の後半を支配するのは、エイミー・マディガンが演じるグラディスという人物です。どういう役かは書きません。書いてしまうと、前半の「町の空気を吸う時間」の意味が変わってしまうからです。ただ、この人物が画面に現れてからの映画の温度の変わり方は、私がここ数年のホラー映画で観た中でも群を抜いていました。
エイミー・マディガンは、1985年の『燃えてふたたび』で初めてアカデミー賞にノミネートされました。そして2026年3月、この『WEAPONS/ウェポンズ』で助演女優賞を受賞しました。初ノミネートから初受賞まで40年。この記録は、アカデミー賞の歴史で最も長い間隔だと報じられています。ホラー映画の役で、しかもここまで振り切った役で、オスカーが贈られたこと自体が事件でした。
グラディスの演じ方には、怪物らしさがありません。むしろ、どこにでもいる年配の女性のように振る舞う。その「ありふれた顔」が、映画の後半で何を意味するのか。マディガンはそれを、声の高さと目の動きだけで観客に伝えます。オスカーはその技術に対して贈られたのだと、私は受け止めています。
10月9日、クレッガーは『バイオハザード』で何をするのか
ザック・クレッガーの新作『バイオハザード』は、10月9日に日本で公開されます。ゲームを原作とするシリーズを、ミラ・ジョヴォヴィッチ版の六作とも、Netflixのドラマ版とも違う形で作り直す試みです。主演は『WEAPONS/ウェポンズ』でジェームスを演じたオースティン・エイブラムス。全米では9月18日に公開され、オープニングでシリーズ史上最高の成績を記録し、批評家の評価も極めて高いと報じられています。
私が『バイオハザード』に期待しているのは、クレッガーが『WEAPONS/ウェポンズ』で見せた「日常が少しずつ狂っていく」描写を、ゲーム原作の枠でどう使うかです。派手なゾンビの群れよりも、町の誰かの顔が、ある日から違って見える。その手つきがあれば、原作を知らない人にも届く映画になるはずです。
『バイオハザード』を観る前に『WEAPONS/ウェポンズ』を観ておくと、10月9日の劇場で、この監督の癖を先に知った状態で座れます。章の切り替え、日常の中の異物、終盤で一気に開く暴力。クレッガーの三つの道具を、前作で確かめておいてください。
この映画を観るべきなのは、こんな人
まず、10月9日の『バイオハザード』を観るつもりで、監督の名前を初めて聞いた人。この一本で、ザック・クレッガーという作家の輪郭が分かります。
次に、『ミッドサマー』や『ヘレディタリー/継承』のように、じわじわと日常が侵食されるホラーを好む人。『WEAPONS/ウェポンズ』の前半は、その系譜の上にあります。
そして、映画の構成そのものを楽しめる人。章立てで町を歩き、視点が切り替わるたびに全体像が組み上がっていく快感は、ホラーというジャンルを超えて、脚本というものの面白さそのものです。
R18+指定ですから、終盤の暴力描写は覚悟しておいてください。ただ、その暴力は、前半で吸い込んだ町の空気があってこそ効くものです。順番を守って、最初から観てほしい。
『WEAPONS/ウェポンズ』はU-NEXTで見放題配信中、初回登録なら31日間無料(初回登録の方が対象)です。深夜2時17分に何が起きたのか、10月9日より前に確かめておいてください。