“憎いのに目が離せない” 強気な愛人から裏切りに怯える妻へ… ハン・ソヒの魅力が爆発『夫婦の世界』
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韓国ドラマ『夫婦の世界』でハン・ソヒが演じたヨ・ダギョンは、視聴者から強烈な反感を買った人物だ。妻子あるイ・テオと関係を持ち、その愛を疑うことなくジ・ソヌの前でも堂々と振る舞う。だが、これほど嫌われる役でありながら、演じたハン・ソヒには称賛が集まった。「ダギョンは嫌いだが、ハン・ソヒには引き込まれる」。そんな相反する反応が、彼女の演技の説得力を何よりも物語っている。
序盤のダギョンは、若さと美貌、裕福な家庭を背景にした自信に満ちている。イ・テオとの関係を一時的な不倫ではなく本物の愛だと信じ、ジ・ソヌに対しても簡単には引き下がらない。ハン・ソヒは、挑発的な視線や隙のない表情、迷いのない話し方で、その無邪気な傲慢さを鮮明に表現した。
ただし、ダギョンを分かりやすい悪女として演じているわけではない。表面上は強気に振る舞いながら、目線がわずかに揺れ、表情が一瞬だけ硬くなる。自分の愛に絶対の自信を持っているようでいて、その内側には嫉妬や焦り、ジ・ソヌに対する劣等感が渦巻いている。ハン・ソヒは、感情を大げさに爆発させるのではなく、隠そうとしても漏れ出してしまう不安を細かな表情で伝えた。
物語が進み、ダギョンがイ・テオの妻になると、その演技はさらに複雑さを増していく。かつてはジ・ソヌから夫を奪った“勝者”のように見えたが、今度は自分が裏切られるかもしれない恐怖に苦しみ始める。相手の行動を疑い、過去の関係に嫉妬し、手に入れたはずの家庭が少しずつ崩れていく。
ハン・ソヒは、自信に満ちていたダギョンから徐々に余裕を奪い、疑念や焦燥、孤独をにじませていく。声を荒らげる場面だけでなく、何も言わずに相手を見つめる瞬間にも緊張が宿る。勝ち誇った女性が、自分もジ・ソヌと同じ立場になるのではないかと怯え始める変化が、視線や呼吸、身体のこわばりから伝わってくる。
そのため視聴者の感情も、単純な怒りだけでは終わらない。前半ではダギョンの振る舞いに腹を立てていた人々が、後半になると彼女の不安や苦しみに複雑な同情を抱くようになる。「苦しむ姿を見て当然だと思う一方、かわいそうにも感じた」という海外視聴者の反応も見られた。憎しみと同情を同時に引き出したことこそ、ハン・ソヒがダギョンを一面的な人物にしなかった証拠だ。
『夫婦の世界』© JTBC studios & Jcontentree corp All rights reserved Based upon the original series “Doctor Foster” produced by Drama Republic for the BBC, distributed by BBC Worldwide
キム・ヒエ演じるジ・ソヌとの対峙も、ハン・ソヒの存在感が際立った場面だった。キャリアも演技力も圧倒的なキム・ヒエを前にしながら、勢いだけでぶつかるのではなく、ダギョンのプライドを保ったまま緊張感をつくり出している。
ジ・ソヌの鋭い言葉を受けても、ダギョンは簡単には弱さを見せない。しかし、平静を装った表情の奥には動揺が走る。強がって相手を見返そうとする一方、その言葉が確実に胸へ突き刺さっていることも分かる。この強さと脆さの同居によって、二人の関係は単なる「妻と愛人」の対立を超え、同じ男性によって傷つけられていく女性同士の複雑な構図へと変化していった。
イ・テオとの場面でも、関係性の変化が演技に反映されている。恋愛の初期には、相手を全面的に信じる若さと情熱が前に出ていた。それが結婚後には、距離の取り方や触れ方、相手を見つめる表情に警戒心が混ざっていく。愛への確信が依存へ変わり、やがて不信へと向かう流れを、ハン・ソヒは言葉だけでなく身体全体で表現した。
ハン・ソヒ自身は撮影を振り返り、当初は動作や感情を計算しながら演じていたものの、物語を重ねるうちにダギョンとの接点が生まれ、次第に自然な反応が出るようになったと明かしている。その言葉の通り、後半のダギョンからは作り込まれた強さが消え、自分の選択が招いた現実に直面する一人の女性の姿が浮かび上がる。
華やかなビジュアルや大胆な役柄だけが、ハン・ソヒを注目させたわけではない。自信に満ちた愛人から、疑いに取りつかれた妻、そして自らの選択と向き合う女性へ。ダギョンの感情を段階的に変化させ、視聴者に怒りだけでなく同情まで抱かせた。『夫婦の世界』が“ハン・ソヒの発見”と呼ばれた理由は、その繊細さと大胆さを併せ持つ演技にある。
『夫婦の世界』© JTBC studios & Jcontentree corp All rights reserved Based upon the original series “Doctor Foster” produced by Drama Republic for the BBC, distributed by BBC Worldwide