「第48回サンパウロ国際映画祭」新人監督部門へ正式出品された尾崎健監督作『鳥を導く』が、10月31日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて2週間限定上映すされる。このたび、メインビジュアルと予告編が解禁となった。
現在地を見失った青年の再生を描く
東京で働く晴太は、広告で使用される音楽を作って生計を立てている。そんな中「自由に音楽を作って欲しい」という依頼に、自分が納得する音楽が浮かばずスランプに陥ってしまう。落ち込んだ晴太は行方をくらまし、幼少期に家族と過ごした山奥のペンションへと向かっていた。一人音楽と向き合う晴太だが、鳥の鳴き声に魅了されて録音することに夢中になる。そこへ、ろう者の姉・あずみが現れて……。
都会暮らしで自分らしさをすり減らした主人公・晴太を演じるのは、これが映画初主演となる稲川悟史。ろう者の両親の元で育ったルーツを持ち、本作では手話の監修や指導も担った。晴太の心の機微を丁寧に掬いとり、観る者の心と物語とを呼応させる。物語に瑞々しさを与える晴太の姉・あずみを演じるのは、伊藤高志監督『3人の女』(2016)で主演を務め、尾崎健監督『やさしいフルスイング』(2017)へも出演する田中志朋。本作ではマイペースでパワフルな姉を演じ、強い存在感を放つ。あずみのパートナー・太一には、「第39回ぴあフィルムフェスティバル」にて審査員特別賞に輝いた『沈没家族』(2018)の監督でも知られる加納土。「第73回ベルリン国際映画祭」フォーラム部門へ出品された太田達成監督『石がある』(2022)などに続いて、今回は言語の壁を飄々と乗り越える太一を、ユーモラスに演じている。
2021年、コロナ禍において稲川悟史、田中志朋、尾崎健の3人が「映画を作ろう」と集まったことがきっかけで企画された本作。出演者を当て書きするシナリオではなく、2人の俳優がこれまで学ぶことのなかった技術を体得し、それを作品へと昇華させることをテーマに置いて制作は進められた。稲川はこれまで触れる機会のなかった「音楽」、田中は表情や手などの動きが重要視されるコミュニケーションツール「手話」をそれぞれ選択。そして「第39回ぴあフィルムフェスティバル」に上映された『やさしいフルスイング』に続いてこれが長編2作目となる尾崎が、この2つの要素を取り入れた脚本を執筆し、監督を務め、3年という制作期間を経て、雄大な自然の中で見失った音楽と向き合い、新たな自分を発見する物語として完成した。
予告編では、仕事と自分との間で追い詰められた晴太とろう者である姉・あずみの再会、そして二人の間に流れる静かで優しい時間が収められている。現在地を見失ってしまったひとりの青年が再生していく様を、美しい自然が奏でる呼吸とともにスクリーンで確かめて欲しい。
©︎『鳥を導く』
『鳥を導く』は10月31日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて2週間限定ロードショー