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東欧映画が描く“歴史のリアル”とは?『サウルの息子』から『オペレーション:カブール』へ受け継がれる〈過去⇔現在〉

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ライター:#BANGER!!! 編集部
東欧映画が描く“歴史のリアル”とは?『サウルの息子』から『オペレーション:カブール』へ受け継がれる〈過去⇔現在〉
『オペレーション:カブール 極限救出48時間』A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025

2021年8月、カブール陥落。国家が崩壊し、最後の砦の空港は地獄と化した。迫り来る武装勢力、封鎖寸前の空港、残されたわずか48時間で200人を救出せよ――命を懸けて任務に挑んだ者たちの、実話に基づく極限脱出劇『オペレーション:カブール 極限救出48時間』が、9月11日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開となる。

今回は、緊迫したニュース映像も記憶に新しい衝撃的出来事を早くも映画化した本作の公開に合わせ、“東欧映画が描いてきた歴史のリアル”を、名作『サウルの息子』と併せて紹介したい。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025

〈カブール陥落〉を本格的に描いた映画、日本初公開!

2021年8月、米軍のアフガニスタン撤退によりカブール空港は国外脱出を求める人々で大混乱に陥る。そんな中、NATO加盟国として現地の治安維持にあたっていたハンガリー軍は、自国民と現地協力者200名を48時間以内に救出するという極限任務に挑んだ。

その最中、作戦を率いたバーリント中尉は、命の恩人である女性医師エステルがタリバンに拉致されたことを知り、彼女の救出にも奔走。タリバンによる空港制圧が迫る中、彼らは200名の人々とエステルを無事救い出せるのか――。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』は、ハンガリー政府主導のもと国防軍が実行した実際の救出作戦「シャーマン作戦」をベースに映画化。ハンガリー軍現代史において最も劇的な作戦のひとつとされる実話をもとに、空港を覆う緊張感、絶え間ないテロの脅威、そしてタリバンとの激しい攻防を圧倒的な臨場感で描き出す。世界を震撼させた〈カブール陥落〉を本格的に描いた作品が日本で初めて劇場公開される点も大きな見どころだ。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025

ハリウッド大作で培った実力派スタッフ×ハンガリー国防省・国防軍の全面協力

『オデッセイ』や『ブレードランナー2049』など、錚々たるハリウッド大作が撮影地に選んでいるのがハンガリーの首都ブダペスト。その成果は外貨の獲得にとどまらず、撮影や美術をはじめとする各技術パートの技量が飛躍的に上昇している。さらに、MCUやDCU作品、『スター・ウォーズ』シリーズなどに参加のスタッフを擁するVFXスタジオが、相次いでブタペストで活動をはじめている。

本作ではそうした実力派のスタッフが結集しただけでなく、ハンガリーの国防省と国防軍が全面協力。実際の作戦に参加した兵士を軍事アドバイザーに迎え、俳優たちに所作や戦闘行動など指導した。さらに、ハンガリー軍の現用装備や軍用車両、軍用機を多数使用してリアリティを徹底追及。すべてをハンガリー国内で撮影しながらも、当時のアフガニスタンを見事に再現してみせた。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025

過去を「知る」ための映画と、東欧映画が伝えてきた「個」の歴史

映画は時に、歴史を伝える「記録」以上の役割を果たす。教科書では語りきれない人々の息遣いや恐怖、葛藤を映し出し、過去を「知る」だけでなく「感じる」ものへと変えてくれる。その力を最も色濃く持つ映画のひとつが〈東欧映画〉である。

ハンガリーやポーランド、チェコ、ルーマニアなどの東欧諸国は、第二次世界大戦やホロコースト、冷戦、共産主義体制の崩壊、そして民族紛争など、近現代史の激動を経験してきた。そのため東欧映画には、歴史を英雄譚としてではなく、「歴史の中で生きた一人ひとりの視点」から描こうとする伝統がある。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025

その代表作が、ハンガリーのネメシュ・ラースロー監督による『サウルの息子』(2015年)だ。舞台は1944年のアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所。ゾンダーコマンド(特殊労務部隊)として極限状態を生きる男・サウルが一人の少年を埋葬しようとする姿を描き、カンヌ国際映画祭グランプリのほかアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞など多くの映画賞を総なめにした。

この作品が世界中の映画人を驚かせた理由は、ホロコーストを“壮大なドラマ”として描かなかったことにある。カメラは終始、主人公の肩越しや顔の至近距離に留まり、惨劇の全貌を見せない。観客は歴史を俯瞰するのではなく、一人の人間と同じ視界で混乱の中へ投げ込まれる。そこにあるのは、「歴史を見る映画」ではなく、「歴史を生きる映画」という〈体験〉だ。

この「個人の視点から歴史を見つめる」という姿勢は、現在の東欧映画にも脈々と受け継がれている。その流れを感じさせる作品の一つが、同じハンガリー製作の『オペレーション:カブール 極限救出48時間』である。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025

「歴史」は終わったものではなく、現在も続いている――

かつてカブール空港で実際に行われた、ハンガリー軍の救出作戦を描く『オペレーション:カブール』。本作が焦点を当てるのは、軍事アクション部分だけではなく、「誰を救うのか」「誰を残さなければならないのか」という極限の選択を迫られる人々の葛藤である。

これは、『サウルの息子』とも通じる東欧映画ならではの視点だ。歴史を動かした英雄ではなく、その渦中で決断を迫られた名もなき人々。国家の大きな出来事ではなく、その瞬間を生き抜こうとした一人ひとりの感情にカメラを向ける。その積み重ねによって歴史は、現実の重みを持った「人間の物語」として立ち上がる。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025

ただしハンガリー映画は、決して過去だけを見つめているわけではない。『サウルの息子』が第二次世界大戦の記憶を描いたとすれば、『オペレーション:カブール 極限救出48時間』は、つい数年前に世界中のニュースで報じられた出来事を見つめ直している。時代は違っても、人命を守ることの困難さ、極限状態における人間性、そして歴史の中で翻弄される個人というテーマは、一貫している。

世界中の戦争や紛争の映像が毎日ソーシャルメディアに流れてくる今、歴史映画の意味も変わりつつある。しかし東欧映画は、単に過去を振り返るための作品ではない。「歴史は終わったものではなく、現在も続いている」という事実を静かに突きつける存在なのだ。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025

そして東欧映画の魅力は、歴史を大きな出来事として語るのではなく、その時代を生きた人々の視点から描き続けることにある。だからこそ作品は国境や時代を超え、私たち自身の問題として心に響く。ハンガリー映画が描き続ける歴史のリアルは、過去を振り返るだけではなく、今を生きる私たちへも静かな問いを投げかけている。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』は9月11日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

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『オペレーション:カブール 極限救出48時間』

2021年8月8日に米軍が撤退を開始し大混乱に陥ったアフガニスタン。NATO軍の治安維持部隊の一団として展開するハンガリー国防軍の特殊部隊はある任務に臨もうとしていた。任務はアフガンで活動する同国人と現地協力者200人の保護と脱出である。

タイムリミットは48時間。各国軍が撤退を続け避難民が殺到するカブール国際空港に到着したフレッド中佐の率いる部隊。その地獄と呼ぶにふさわしい現場に圧倒されるとともに、救出すべき者としない者の即断を迫られ苦悩する隊員たち。やがて救出作戦が佳境に入ったころ、部隊の補佐官であるバーリント中尉は、かつて戦闘中に命を救われた女性医師エステルがタリバンに拉致されたことを知る。

タリバンの空港制圧が迫るギリギリの状況の中で、はたしてバーリントはエステルを救出して全員脱出することは出来るのか? 究極の勇気が試される。

監督:ゾンボル・ディガ
脚本:アーロン・ホルヴァス
出演:ガボール・ヤスベレーニ、ブランカ・メサロス、タマーシュ・ボロヴィチ、デビッド・ハジマシ

A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025
配給:彩プロ

制作年: 2025