映画『バックルームズ』の“元ネタ”を解説!今敏のアニメやFPSゲームなど多大な影響を与えた映画・アニメ・ゲーム
話題騒然! A24最新作『バックルームズ』
A24制作の映画『バックルームズ』が9月4日(金)に全国公開を迎え、早くも大きな話題を呼んでいる。制作段階から異例とも言える期待を集めていた本作だが、監督のケイン・パーソンズは弱冠21歳ということで、早熟という言葉では片付けられないバチバチの才能に世界中が驚いているようだ。
ケイン・パーソンズ監督 『バックルームズ』© 2026 Backrooms Rights LLC, PC Films, LLC. All Rights Reserved.
本作はタイトル通り、匿名掲示板から生まれたインターネット上の都市伝説“バックルームズ”がテーマになっている。この都市伝説は“リミナルスペース(境界空間)”と呼ばれる、普段は賑わっているはずの広大なスペースに“誰もいない”ことの不自然さ、不思議なノスタルジー、不安を催す空間などが舞台になることが多い。国や文化を超えて共感可能な、一種の恐怖症として語られることもあるようだ。
公式サイト
21歳の新鋭監督が影響を受けた映画・ドラマ・アニメ・ゲーム・音楽とは?
舞台は、都市伝説とされていた空間“Backrooms”。
「ある日突然 “現実世界の裏側”へ墜ちてしまったら…?」どこまでも続く黄色い壁紙の部屋、終わりのない廊下。不自然な間取りと、意味を失い床に埋まった設置物。わずかに現実からズレている――そんな出口のない“リミナルスペース”で、観客は“最高密度の不安と恐怖”を体験する。
『バックルームズ』© 2026 Backrooms Rights LLC, PC Films, LLC. All Rights Reserved.
パーソンズは10代の頃からYouTubeなどに自作の映像作品を投稿していて、当時からバックルームズは大きなテーマの一つだった。いわゆるZ世代のド真ん中である彼は、映画やドラマだけでなく、アニメ、ゲームなど多岐にわたる作品からインスピレーションを受けていることを数々の海外メディアで語っている。
映画『バックルームズ』はなんの前情報も入れずに“不思議空間ホラー”として観てもMAXに楽しめる仕上がりだが、もう少し踏み込んで“何かを掴みたい”“映画的なヒントが欲しい”という人、あるいはざっくり予習してから鑑賞したいという人のために、パーソンズ監督が影響を受けた作品を整理してみよう。
『バックルームズ』© 2026 Backrooms Rights LLC, PC Films, LLC. All Rights Reserved.
『バックルームズ』に影響を与えた「映画・ドラマ・アニメ」
🎞️『ストーカー』(2002年)
ロビン・ウィリアムズ主演の心理スリラー映画。パーソンズは複数メディアのインタビューで、この映画を「映像面および音響面で最も参照した作品」として挙げている。実際その影響は一目瞭然だ。
劇中に登場するディスカウントストア(SavMart)の明るすぎる蛍光灯や不気味なほど均一な商品棚の描写が、『バックルームズ』の“外の世界”のルックや、孤独・執着といったテーマ、リミナルスペース特有の不快感に強い影響を与えている。
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🎞️『妄想代理人』(2004年)
今敏監督による日本のアニメシリーズ。パーソンズは「最も興味深い影響を受けた作品」として本作を挙げた。とくに、「脅威(モンスター)の正体を過剰に定義しない」というストーリーテリングの姿勢や、「現代の都市化や情報の氾濫に対する人々の集団的な不安が、物理的な形をとって現れる」というメタ的なテーマが、『バックルームズ』の空間や怪物の成り立ちに直接的な影響を与えているようだ。
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📺️『ミスター・ロボット』(2015年)
ラミ・マレック主演のTVドラマシリーズ。パーソンズは、企業権力や社会的な大きな問題が「一人の個人の内面を通して知覚される」という構造に強く影響を受けたとしている。また、撮影監督のトッド・キャンベルによる「深いコーナーを活かした構図」や「息苦しいほどのネガティブスペース(余白)の配置」といった視覚的なアプローチにおいても大きな影響を受けている。
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📺️『ツイン・ピークス』(1990年〜)
言わずと知れた、デヴィッド・リンチ監督の金字塔的ドラマ。これはパーソンズ自身の幼少期の生活環境を通じたインスピレーションとのことで、両親の離婚後、同作の熱狂的なファンであった父親が家の中を劇中の「ブラック・ロッジ」のように赤いカーテンやジグザグ模様のカーペットで装飾しており、そうした「ドリームスケープ(夢の風景)」の中で育った実体験が、現在の彼の空間構築に繋がっているとラジオインタビュー等で明かしている。
📺️『Utopia -ユートピア-』(2013年〜)
あのデヴィッド・フィンチャーが絶賛し、のちにアメリカでリメイクもされたイギリスのサスペンスドラマ。パーソンズがエド・ヴァン・ブレーメンと共同で本作のサウンドトラックを制作するにあたり、音楽的なインスピレーション元として言及されている。
『バックルームズ』に影響を与えた「ゲーム作品」
🎮️『Portal 2』
Valve社のパズルアクションゲーム。パーソンズは「これまでの人生において最も強い影響を受けた作品」と断言している。無機質で企業的なロボットの声が語りかけてくる不条理さやブラックユーモア、そして空間と物理法則を使った「ゲーム的な空間の文法」を映像言語に翻訳し、無限に広がる『バックルームズ』のインテリアを構築するにあたって根幹となるインスピレーションとなったという。
🎮️『Half-Life』シリーズ
『Portal』と同じくValve社を代表するFPSゲームシリーズ。こちらも『バックルームズ』の世界観を構築する上で影響を受けたゲームとしてパーソンズ自身がインタビューで言及している。
『バックルームズ』に影響を与えた「音楽」
💿️ボーズ・オブ・カナダ(Boards of Canada)
スコットランドのエレクトロニック・ミュージック・デュオ。パーソンズはGQ誌のインタビューで、映画の劇伴・スコアのサウンドスケープを制作するにあたってのインスピレーション源としてBoCの名を挙げている。彼らの持つ、どこかノスタルジックだが不穏、記憶の奥底に潜む映像が歪んでいくようなサウンドが、本作のトーンに合致していると言えるだろう。