ステイサム最新作『シェルター』の劇伴作曲家が語る!「彼の内面で何が起きているのか、音楽が重要な役割を果たす」
『シェルター』©︎2026 Fire Hawk Productions Limited. All Rights Reserved.
ジェイソン・ステイサム主演最新作『シェルター』ついに公開
『エクスペンダブルズ ニューブラッド』(2023年)、『ビーキーパー』(2024年)、『ワーキングマン』(2025年)が続けて正月映画として公開され、日本では“お正月の顔”となりつつあるジェイソン・ステイサム。『ビーキーパー』続編も2027年1月15日公開予定となっているが、「1月まで待てない!」という映画ファンの声に応え、2026年8月28日から硬派アクションスリラー『シェルター』(2026年)が劇場公開中だ。
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今度のステイサムは元特殊部隊員の“世捨て人”!?
『シェルター』でステイサムが演じるメイソンという人物は、古い灯台があるスコットランド沖の孤島で愛犬を従えてひっそりと暮らしている。今回は養蜂家や建設現場監督のような仕事にも就いておらず、虚無的でうらぶれた姿からは哀愁が漂っている。
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そんなメイソンに興味を持って話しかけてきたのが、叔父と共に生活必需品を定期的に届けに来る少女ジェシー(ボディ・レイ・ブレスナック)だった。他者との接触を極端に嫌うメイソンは、ジェシーにもつれない態度を取っていたが、猛烈な嵐の日に海で溺れかけた彼女を救って以来、少しずつ心を通わせていくようになる。
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しかし負傷したジェシーの薬と着替えの服を調達するため本土へ渡ったメイソンは、MI6のハイテク監視システム<シア(THEA)>に捕捉され、その後、隠れ家を武装集団に襲撃されてしまう。実はメイソンは英国政府の元エリート特殊部隊員で、直属の上司だったMI6元長官マナフォート(ビル・ナイ)の恨みを買い、国家の「抹殺リスト」に登録されていたワケありの人物だった。
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無関係な少女の犠牲も厭わないマナフォートの非道なやり口に怒りを覚えた彼は、ジェシーを守り抜き、自身の忌まわしい過去を断ち切るため、MI6に戦いを挑む――。
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魂が震える“静かに熱い”ステイサム無双
本作は「天涯孤独の身となった少女と孤独な男の逃亡劇」というシリアスな内容で、いつものステイサム映画よりも人間ドラマに重点が置かれている。物語序盤でメイソンの隠遁生活や少女との不器用な交流を丁寧に描くことで、世捨て人のような男の中に人間的な感情が蘇り、「孤独な少女を守る」という決意と共に驚異の戦闘スキルを発動させる展開に説得力をもたらしている。
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アクションはブービートラップ戦やカーチェイス、若手凄腕工作員ワークマン(ブライアン・ヴィジエ)との近接格闘などが用意されており、とくにAnymaの「The End of Genesys」とFarveblindの「Micro Pleasures」が大音量で流れる中でステイサム無双が繰り広げられる、終盤のナイトクラブでの戦いが秀逸だ。
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そして『バンク・ジョブ』(2008年)のダニエル・メイズ、『リボルバー』(2005年)のトム・ウーなど、ステイサムとの再共演シーンも嬉しい。コミカルさや派手さを抑えた“静かに熱い”ステイサム映画も、実にいいものである。
『シェルター』劇伴制作秘話! 作曲家デヴィッド・バックリーに独自インタビュー
本作の劇伴を作曲したデヴィッド・バックリーはリック・ローマン・ウォー監督のお気に入り作曲家であり、『エンド・オブ・ステイツ』(2019年)以降『グリーンランド -地球最後の2日間-』(2020年)、『カンダハル 突破せよ』(2023年)、『Greenland 2: Migration』(2026年)でもタッグを組んでいる。
今回、筆者はバックリーにインタビューすることができたので、『シェルター』の音楽、そしてウォー監督との共同作業について話を聞かせてもらった。
『シェルター』オリジナル・サウンドトラック
アーティスト:デヴィッド・バックリー
発売日:2026年8月26日(水)
品番:RBCP-3641
価格:2,970円(税込)
発売元:ランブリング・レコーズ
「ウォー監督が“これと似た曲を作ってくれ”と要求してくることは決してありません」
――ウォー監督とは今回が5回目のタッグになりますが、どういったところに彼との仕事の面白さややり甲斐があるのでしょうか。
リックとの仕事で僕が何よりも気に入っているのは、彼がいわゆる“ハリウッド的”な音楽を避けようとする姿勢です。彼は壮大なオーケストラ・サウンドや、観客にどう感じるべきかを指示するような音楽を求めているわけではないのです。彼が好むのは抑制が効いていて、親密な響きを持ちながらも、独特の個性があり、感情に訴えかけるような音楽です。
そして彼はプロジェクトの非常に早い段階、つまり、まだ音楽を当てるための映像がほとんど出来上がっていない段階から僕を参加させてくれるのです。
――劇伴の方向性を決めていくとき、ウォー監督はテンプトラック(仮の音楽)を使うのでしょうか。
テンプトラックを使うとき、リックはほかの作曲家の曲よりも、僕たちが過去に一緒に手がけた作品の音楽を使うことを好みます。と言っても、彼が「これと似た曲を作ってくれ」と僕に要求してくることは決してありません。彼はいつも実験的な試みを奨励してくれます。
『エンド・オブ・ステイツ』の制作中、彼が「どんなアイデアでも悪いアイデアなんてことはない」と言っていたのを覚えています。よく「君のやり方でやってくれ、デイヴ。作曲家は君なんだから」と言ってくれたものです。監督が作曲家に寄せる信頼として、これほど素晴らしいことはありません。
「ステイサム映画に観客が期待する激しさと、主人公の心の変化を音楽で表現することが求められた」
――あなたは以前『PARKER/パーカー』(2013年)でステイサム映画の劇伴を作曲しています。今回はどのような点に留意して曲作りを進めていきましたか?
ジェイソンは長いセリフよりも、その存在感や行動で語る役柄を演じることが多いため、彼の内面で何が起きているのかを表現する上で、音楽が重要な役割を果たしています。パーカーもメイソンも身体能力が高くタフなキャラクターですが、メイソンが辿る心の旅路は全く異なるものです。メイソンにはある種の哀愁が漂っており、過去の重荷を心の奥底に抱えています。
そこで『シェルター』の音楽には二つの役割が求められました。ひとつは、ジェイソンの映画に観客が期待するアクションや激しさを支えること。そしてもうひとつはメイソンが心を閉ざした孤独な人物から、他者を真に思いやり、責任を負える人物へと変わっていく過程を音楽で表現することでした。そうした対比こそが、劇伴を制作する上で最も興味深い点のひとつでした。
『シェルター』©︎2026 Fire Hawk Productions Limited. All Rights Reserved.
――作曲家として、メイソンというキャラクターをどのように分析されましたか?
映画全編を通して、メイソンは自身の過去と葛藤しながらも、半ば強制的に“父親代わり”の役割を担うことになります。自信に満ち溢れタフな彼ですが、守るべき子どもとの間に、次第に真の絆を築いていきます。そうした関係性がこの映画に感情的な深みを与えていると思います。それゆえに、『シェルター』の劇伴作曲を手がけることは非常にやりがいのある仕事となりました。
『シェルター』©︎2026 Fire Hawk Productions Limited. All Rights Reserved.
取材・構成:森本康治
Special thanks to David Buckley
『シェルター』は8月28日(金)より全国公開中