あなたが見たい映画・ドラマを一発的中※ 会員登録が必要です

気分(複数選択可)
年代(複数選択可)
作品タイプ(複数選択可)
  • BANGER!!! トップ
  • >
  • 映画
  • >
  • 「ホラーの世界観は大胆で自由」ルパート・グリントが語る!北欧発“奇妙な赤ちゃん”ホラー『ナイトボーン -夜哭-』

「ホラーの世界観は大胆で自由」ルパート・グリントが語る!北欧発“奇妙な赤ちゃん”ホラー『ナイトボーン -夜哭-』

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook
ライター:#佐藤久理子
「ホラーの世界観は大胆で自由」ルパート・グリントが語る!北欧発“奇妙な赤ちゃん”ホラー『ナイトボーン -夜哭-』
ルパート・グリント、セイディ・ハーラ 撮影:©佐藤久理子
『ナイトボーン -夜哭-』© 2025 Elokuvayh/ö Komee4a Oy, Filmai LT, Bluelight, Getaway

北欧発“奇妙な赤ちゃん”ホラー『ナイトボーン -夜哭-』
セイディ・ハーラ&ルパート・グリントが語る

『ローズマリーの赤ちゃん』(1968年)を彷彿させるような、異質な赤ん坊を産み愕然とする母親。しかし、その異質さにまだ気づかない父親、という前半の設定から予想を覆す展開が続き、最後は狂気の暴走を迎える。ハンナ・ベルイホルム監督(『ハッチング ー孵化ー』[2022年])による北欧産ホラー、『ナイトボーン -夜哭-』だ。

『ナイトボーン -夜哭-』© 2025 Elokuvayh/ö Komee4a Oy, Filmai LT, Bluelight, Getaway

そんな衝撃の作品で夫婦役に扮したのが、『コンパートメントNo.6』(2021年)で注目を浴びたフィンランドのセイディ・ハーラと、『ハリーポッター』シリーズでお馴染みのルパート・グリント。私生活でもそれぞれ子どもを持つふたりにとって、激烈な本作の体験はどんなものだったのか。ワールドプレミアを迎えた今年のベルリン国際映画祭で訊いた。

『ナイトボーン -夜哭-』© 2025 Elokuvayh/ö Komee4a Oy, Filmai LT, Bluelight, Getaway

「親になる夫婦にとって、トラウマになり得るような時期」

――お二人ともそれぞれお子さんをお持ちだと思いますが、ご自身の子育て体験、あるいはその時期に夫婦で経験したことなどは、この作品をやる上でどんな影響をもたらしましたか。

ルパート・グリント(以下R):この脚本を初めて読んだとき、まさに個人的にぐっとくるものがありました。当時はちょうど2人目の子どもが生まれるのを待っていたときで、すごく自分の私生活にリンクするものを感じたんです。

子どもを持つということは本当に人生がまったく変わるような体験で、準備をしようにもどうしたらいいかわからない。もちろん素晴らしい、美しい体験ですが、それだけではない。自分の人生でもっとも狼狽するときでもあるわけで、その点でこの脚本がとても気に入ったのです。

『ナイトボーン -夜哭-』© 2025 Elokuvayh/ö Komee4a Oy, Filmai LT, Bluelight, Getaway

本作は親になることの不安や恐怖をとてもよく描いているし、それがいかに自分のパートナーとの関係に影響するかも鋭く見つめている。親になる夫婦にとって、トラウマになり得るような時期です。僕自身は幸いそんな経験をすることはありませんでしたが(笑)、生まれたばかりの赤ん坊とは未知な存在で、まるで家の中にモンスターやエイリアンがいると感じても不思議ではない。それがいったい何者であるのかよくわからない、というような。そんな奇妙な感覚を、この物語はとても上手く表現していると思いました。

――お二人目のお子さんを待っていた時期なら、なおさらこうした映画をやることに不安はありませんでしたか? 映画をやることがトラウマにならないかという。

R:それはとくに心配はしませんでした。たしかに良いタイミングとは言えなかったかもしれないけれど(笑)。でも不思議なことに、そんな時期だからこそ、よりこの物語に惹かれたんだと思います。この映画のように心理的な側面を探求するのはとても興味深かったし、なにか役に立つのではないかとも思えました。

『ナイトボーン -夜哭-』© 2025 Elokuvayh/ö Komee4a Oy, Filmai LT, Bluelight, Getaway

「親から続く血筋のなかで、何かを背負って生きてきた感覚があった」

セイディ・ハーラ(以下S):わたしは最初に脚本を読んだときから、とてもリアルで現実的で、慰めを感じさせられるものだと思えたんです。たとえば子どもを産んだ女性のなかには、この母親と同じように恐れや不安を感じて、状況をコントロールしたいけれどできないと焦る人もいるでしょう。そういう人たちにとって、とても共感できる物語だと思いました。

ワールドプレミアで初めてこの完成作を観たのですが、観客の反応が良かったのと、とくに笑いがよく出ていたのが嬉しかった。というのも、わたしたち演じる側は現場でとてもシリアスに撮っていましたから、どこまでユーモアに満ちているかというのは自分たちではよくわからなかったんです。

わたし自身の人生でも、母になったことはもっとも大きな、画期的なことでした。そして、親から続く血筋のなかで何かを背負って生きてきた感覚があったのですが、この映画をやったことで、何かがわたしのなかで解放されたのを感じたんです。これまでとは違う、ある種のカタルシスを味わうことができました。

『ナイトボーン -夜哭-』© 2025 Elokuvayh/ö Komee4a Oy, Filmai LT, Bluelight, Getaway

――それは、あなたが演じたサーガというキャラクターが自分の感情に正直で、母親とはこうあるべきだという概念のようなものを破ることから来るものだったのでしょうか。

S:なんというか、現実や未来に対する空想やイメージにしがみつこうとする心と、母親であること、あるいは赤ちゃんの存在と自分とのあいだにある、矛盾する感情の問題なのだと思います。わたしたちはまだ変わる準備ができていないのに、新しい生命の誕生によって、これほど深く自分自身を変えられてしまうことへの戸惑いのようなものがある。わたし自身、その感覚にとても共感できますし、サーガの苦しみもそこから来ていると思います。

『ナイトボーン -夜哭-』© 2025 Elokuvayh/ö Komee4a Oy, Filmai LT, Bluelight, Getaway

「何が現実なのか判然としない、その境界線上の危うさがある、そういう曖昧さに惹かれます」

――ルパートさんはここ数年ホラー系の出演作が続いていたと思いますが、一般にホラーというジャンルはお好きですか。

R:好きです。出演作を決めるときは、とくにホラーを意識して選んでいるわけではないですが、なぜかそういう物語に惹かれるところがあります。ホラーの世界観は面白いし、大胆で自由なところがあると思います。

――最近はまたホラー・ブームが来ているような印象があります。ひと口にホラーといっても心理的なものや、あるいはスプラッターに近いホラーなどいろいろありますが、演じる立場としての好みはいかがですか。

R:たしかに本作の場合は、どちらかと言えばサイコロジカル・スリラーの部類に入るかもしれませんね。本当に恐怖を感じたりトラウマになるような体験を、観客があえて求めて観に行くというのは、ある種奇妙な心理状態と言えると思います。でも演じる側としてはとても楽しい。

現実から逃避する手段というか、ある種「別の現実」の世界を生きる。まあ、どんな現実にも恐怖は潜んでいるものだし、どこにでも怖いことはあると思います。とくに超自然的な要素が絡んでくるあたりはとても興味深い。何が現実なのか判然としない、その境界線上の危うさがある、そういう曖昧さに個人的には惹かれます。

『ナイトボーン -夜哭-』© 2025 Elokuvayh/ö Komee4a Oy, Filmai LT, Bluelight, Getaway

「この物語は常軌を逸していますし、撮影もとても強烈な体験でした」

――さらに言うと、“何がホラーか”という定義はとても難しいものではないでしょうか。この映画も、赤ん坊よりも、ある意味母親がホラーだったりしますし(笑)。

S:その通りですね(笑)。

R:たしかに、この映画では本当の恐怖が何か定義しにくいですね。モンスターは赤ん坊ではないし、これはモンスター映画ではない。モンスター映画のカテゴリーに入れられたら簡単かもしれないけれど、もっと複雑なもの。

そして森や自然の脅威といった神秘的なものがあって、彼らの家はどんどんそれに侵食されていく。もっとも怖い場所が、この家だと思います。自分にとってはそういう場所に閉じ込められること、それが一番怖いですね。

――壮絶なシーンもありますが、観客にショックを与えたり、ある種、観客の期待を裏切るようなことを演じるのは楽しいですか?

R:予想外のことをやるのは楽しいです。これまで自分の作品は、どちらかといえば温かみのあるものが多かったですが、この映画のような世界に足を踏み入れるのは本当にワクワクします。この物語は常軌を逸していますし、撮影もとても強烈な体験でした。あの家のなかで展開される人間関係は、とても親密であるとともに居心地が悪く、かなり手強いものでしたが、とても刺激的でした。

『ナイトボーン -夜哭-』© 2025 Elokuvayh/ö Komee4a Oy, Filmai LT, Bluelight, Getaway

「セイディの姿を見て、自然と近い暮らしはすごく素敵だろうなと思いました」

――“観客の期待を裏切る”という点についてですが、役選びで迷ったりされたことはありますか? たとえば、自分としてはとても惹かれるけれど、これまでの自分のファンにとってはちょっとショックかもしれない、などと考えたことは?

R:そこまでは考えないですね。自分が脚本を読んで気に入ればいいと思っています。ただ、子どもができてからは、自分にとって家にいる時間がとても貴重なものになったので、仕事をセーブするようになりました。それができる立場にいることは、とても恵まれたことだと思っています。いまは自分にとってチャレンジングで刺激的で、何かをもたらされるようなものを選んでやっていきたいと思っています。

『ナイトボーン -夜哭-』© 2025 Elokuvayh/ö Komee4a Oy, Filmai LT, Bluelight, Getaway

――本作では母性と自然の結びつきがあって、それはとても興味深いテーマだと思うのですが、その点についておふたりはどう思われましたか? ご自身でも何か共感するところはありましたか。

R:自然への憧憬というのは、いつもありました。恥ずかしい話ですが、ふだんの生活で森に行くことなんて滅多にないので。イギリス人の日常では、フィンランドのように森が身近にあるという感覚がないんです。でも撮影をしたリトアニアで、セイディが森をあちこち散歩して楽しんでいる姿を見て、自然と近い暮らしはすごく素敵だろうなと思いました。

S:わたしにとってはあまりに自然なことなので、たとえばルパートが同じ感覚を持っていないということを理解するのが難しいというか(笑)。つまり人間はみんな本来持っているだろう、本能的な感覚に近い気がします。

R:たしかにそうかもしれない。今回はフィンランドでリハーサルを2~3週間したのですが、フィンランドの文化と自然もとても素敵でした。どこか癒される感じがしましたよ。

取材・文・撮影:佐藤久理子

『ナイトボーン -夜哭-』は8月28日(金)より全国公開

Share On
  • Twitter
  • LINE
  • Facebook

『ナイトボーン -夜哭-』

子供を望む新婚夫婦サーガとジョンは、理想の子育てを夢見て、サーガの故郷であるフィンランドの森深い田舎町へと移り住む。北陸神話の気配が今なお息づく、神秘的な森に抱かれながら結ばれた二人は、やがて待望の子供を授かる。愛する夫と我が子との幸せな暮らし――サーガは、その未来を信じて疑わなかった。

あの産声を聞くまでは……。

「この子は、“何かがおかしい”」――生まれた我が子に拭いきれない違和感を覚えるサーガ。不安は次第に恐怖へと姿を変え、やがて狂気へと暴走していく。そしてサーガが辿り着く、恐るべき真実とは――。

監督・脚本:ハンナ・ベルイホルム
出演:セイディ・ハーラ ルパート・グリント

制作年: 2025