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『ヒトラーの毒見役』シルヴィオ・ソルディーニ監督、現代の世界情勢や戦後81年を迎える日本にも通じると強調

『ヒトラーの毒見役』シルヴィオ・ソルディーニ監督、現代の世界情勢や戦後81年を迎える日本にも通じると強調
『ヒトラーの毒見役』©2025 Lumière & Co. / Tarantula / Tellfilm / Vision Distribution

「私はヒトラーの毒見役を務めていた」と告白したドイツ人女性マルゴット・ヴェルクの証言に基づいて書かれた、世界的ベストセラー小説「ヒトラーの毒見役」を映画化した、シルヴィオ・ソルディーニ監督作品『ヒトラーの毒見役』が、7月31日(金)より公開される。このたび、監督のコメント映像と著名人よりコメントが到着した。

世界的ベストセラー小説「ヒトラーの毒見役」を映画化

2012年、「私はヒトラーの毒見役を務めていた」と告白したドイツ人女性マルゴット・ヴェルクの証言に基づく物語。彼女はヒトラーの協力者とみなされることを恐れ、長い間自分の過去について誰にも語らずにいたが、晩年に打ち明けた。戦後67年を経て明らかになった新事実。これはナチスに運命を翻弄されたある女性の衝撃的な実体験である。

1943年の第二次世界大戦末期。ベルリンの爆撃を逃れ、ポーランドの田舎町で戦地にいる夫の帰りを待つローザ。その場所は“狼の巣”と呼ばれる、ヒトラーが総統大本営を置いていた森の近くだった。ある日、彼女はヒトラーが食事する前に、毒見する任務を命じられる。他の若い女性たちとともに、親衛隊による監視のもとで、銃を突き付けられながら食事をすることに。ヒトラーが食す最高の料理を、死と隣り合わせの最悪な状況で試食する苦悩の日々。そして1944年7月、総統大本営でヒトラー暗殺を狙うクーデター(7月20日事件)が勃発。戦局が混迷を極める中、彼女たちの運命は—。戦場ではない側面—。女性の視点から戦争の恐怖を捉え、毒見役として日々を共にする彼女たちの間で揺れ動く関係性を描く。

監督は『エマの瞳』(2017)のシルヴィオ・ソルディーニ。主演のローザを演じるのはNetflixシリーズ 「皇妃エリザベート」(2022)のエリーザ・シュロット、ナチス親衛隊将校を演じるのは『マトリックス レザレクションズ』(2021)などに出演のマックス・リーメルト。

本作の監督を務めたシルヴィオ・ソルディーニは、映画監督、脚本家。『エマの瞳』(2017)などで知られ、これまで数々の映画祭で高い評価を受けてきたイタリアを代表する名匠である。本作の日本公開への喜びを述べ、「過去の物語だけれど、現在にも通じる映画なのです」と、本作で描かれるナチスの脅威が現代の世界情勢や戦後81年を迎える日本にも共通していることを強調した。

<コメント>

渋谷哲也(ドイツ映画研究/日本大学文理学部教授)
ヒトラーの毒見役だったという女性の告白を裏付ける歴史的資料はいまだ見つかっていない。だがそれが史実だったかはさておき、食卓を囲む一部屋にナチスドイツの戦争のリアルを収斂させた本作はユニークかつ秀逸な反戦映画である。

田野大輔(甲南大学文学部教授・ドイツ現代史)
厳重に警備された総統大本営「ヴォルフスシャンツェ」内の一室で、時に銃を突き付けられながらヒトラーの食事の毒見をさせられた女性たちの物語。東プロイセンの荒涼とした寒村、コンクリート張りの冷たく無機質な食堂、野菜中心の質素で味気のない食事が、戦争の指揮を執る独裁者の殺伐とした心象風景を照らし出す。突如として司令部で大きな爆発音が鳴り響き、女性たちや周囲の村落の人たちの間に動揺が広がっていく様子は、1944年7月20日に発生したヒトラー暗殺未遂事件の描写として秀逸である。

長澤均(服飾史家/デザイナー)
登場人物の衣装の細部から家具調度品まで、ここまで歴史考証にこだわった映画がかつてあっただろうか。デザインの再現にとどまらず、当時の織りを復元したコート、編み地のみならず傷んだほつれまで作り込んだセーターやカーディガン。戦時の貧しい装いが際立つが、そうしたディテールが画面や物語と呼応して限りなく美しい。レナート・ベルタの見事なカメラ、シルヴィオ・ソルディーニの行き届いた演出。細部そのものが映画全体を示した稀有な作品である。

ブレイディみかこ(ライター)
食べるか?死ぬか?その究極の状況下でひっそり息づいていたシスターフッドに胸打たれた。こういう話がいま明かされることの時代性を考えさせられる作品だ。

マライ・メントライン(ドイツ公共放送プロデューサー)
主人公たち「毒見役」は一見、理不尽に陥れられた「犠牲者」「被害者」のように見える。本人たちの主観でも同様だろう。しかし実はそんな単純なものではない。狂気の時代にて加害・被害の境界は不気味な逆説の様相を見せる。そう、本作はこれまであまり語られることのなかった、加害と被害が溶け合う「濃縮図式」ストーリーなのだ。まさに、ここでしか垣間見えないナチズム内幕の心理というものがある。そこに勧善懲悪は無い。

山崎雅弘(戦史・紛争史研究家)
戦争の非人間的な側面を、静かに淡々と描く作品で、とても印象深く鑑賞しました。一般的には単純に極悪人として処理されがちな、ユダヤ人を大量殺害したゾンダーコマンドの親衛隊将校も、その「与えられた役割」によって心に闇を植え付けられている、という「弱さ」を含めた描き方に、作り手の視野の深さを感じました。

『ヒトラーの毒見役』©2025 Lumière & Co. / Tarantula / Tellfilm / Vision Distribution

映画『ヒトラーの毒見役』は、7月31日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開。

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