不安と閉塞感が漂う現代を生きる16歳のリアルな“いま”を描く『君の見る世界をなぞる』本予告
「第78回カンヌ国際映画祭」監督週間オープニング作品『君の見る世界をなぞる』が、8月21日(金)より公開される。このたび、ポスタービジュアルと本予告が解禁となった。
現代を生きる16歳のリアルな“いま”
南フランスの陽光あふれる街を舞台に、大人への入り口に立つ16歳の少年の心の機微を瑞々しく描いた『君の見る世界をなぞる』。裕福な家庭に育ちながらも、どこにも自分の居場所を見出せずにいるエンゾは、建築現場で出会ったウクライナ人移民の青年ヴラドに強く惹きつけられていく。戦争という現実を背負いながら生きるヴラドの姿は、エンゾにとって初めて触れる“本物の生”の重みだった。思春期の混乱と戸惑い、誰かのようになりたいという憧れ、そして言葉にならない欲望。その危うく曖昧な感情は、息子を理解したいと願う父親の想いとすれ違いながら、やがて彼自身の世界を静かに揺らしていく——。
監督を務めたのは、『BPM ビート・パー・ミニット』でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞したロバン・カンピヨ。『パリ20区、僕たちのクラス』でパルム・ドールに輝いたローラン・カンテが長年温めてきた企画を、彼の逝去後、盟友であるカンピヨ監督が遺志を受け継ぎ完成させた。フランス社会派映画の名匠ふたりの視線が交差した本作は、階級社会の断絶や戦争の影、不安と閉塞感が漂う現代を背景に、“自分とは何者か”を探し続ける若者の姿を鮮やかに映し出す。不確かな時代を生きる私たちの胸に、美しくもほろ苦い余韻を残す、青春映画の新たな傑作が誕生した。
主人公エンゾの瑞々しい十代の心の揺らぎを繊細に体現したのは、新人エロワ・ポユ。元競泳選手である彼は、飾らず自然な佇まいがローラン・カンテとロバン・カンピヨの目に留まり、本作で俳優デビューを飾った。周りの世界に馴染めないエンゾを支える両親役には、『シチリアーノ 裏切りの美学』などイタリア映画界を索引する名優ピエルフランチェスコ・ファヴィーノと、『天使が見た夢』でカンヌ国際映画祭最優秀女優賞を獲得したエロディ・ブシェーズ。さらにエンゾが淡い憧れを抱くウクライナからきた労働者ヴラド役には、実際に建築現場で働いていたウクライナ出身のアマチュア俳優マクシム・スリヴィンスキーが起用されている。
『君の見る世界をなぞる』©Les Films de Pierre / Lucky Red / Page 114 / Les Films du Fleuve / France 3 Cinéma / AMI, Alexandre Mattiussi
ポスタービジュアルは、太陽の光が燦燦と降り注ぐ青空が夏らしい解放感を印象付けつつも、どこか影も感じさせるデザインとなっている。青空の下には、建築現場の見習いである主人公エンゾと、彼の教育係であるウクライナ出身の同僚ヴラドが並んで働く姿が捉えられているが、二人の微妙な距離からは近いようで遠いエンゾとヴラドの心の距離と、決して埋まらない現実社会の隔たりがあることが伺える。タイトルの文字には筆跡の揺らぎや書き直す跡が見られ、未熟な16歳の青年の揺れ動く思春期の心を表している。社会においても人生においても“見習い”であるエンゾが将来を自らの手で積み上げていく様子が示唆されている。
予告編では16歳のエンゾの揺らぐ心がさらに克明に語られていく。裕福な暮らしと周囲の社会とのギャップに違和感を抱くエンゾと、故郷を離れフランスで働くウクライナ出身の外国人労働者ヴラド、そしてどこか大人びた息子を心配する父親の視点も加わり、不安定な現代だからこそ際立つ思春期の青さとドラマが展開されることが期待できる予告となっている。
『君の見る世界をなぞる』は8月21日(金)より全国公開