第98回アカデミー賞『国宝』受賞なるか?
現地時間の明日、第98回アカデミー賞の授賞式が開催される(日本時間16日AM)。今年は現時点で日本公開済み/配信中の作品も多く、世界中の映画ファンが予復習に勤しんでいることだろう。
日本の映画ファンとして気になるのは、やはり「メイクアップ&ヘアスタイリング賞」にノミネートされた超ヒット作『国宝』だろう。国際長編映画賞を逃したのは残念だが、伝統芸能である歌舞伎を通して映画館を賑わせた本作の功績は非常に大きい。
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
歴代最多16部門ノミネートを果たした『罪人たち』ほかメイン部門などについてはリストアップ記事を参照していただくとして、ここではメイクアップ&ヘアスタイリング賞ノミネート作、つまり『国宝』のライバルとなる候補作たちをざっと予習しておこう。すでに公開済みの作品から配信で今すぐ見られる作品、少しお預けの作品まで様々だが、なかなかの強敵揃いだ。
メイクアップ&ヘアスタイリング賞ノミネート作
🎞️『国宝』(全国公開中)
吉田修一の同名小説を李相日監督が映画化。任侠の世界に生まれながら、歌舞伎の頂点を目指す青年・喜久雄の激動の半生を描く。主演の吉沢亮が、血の滲むような修行を経て「国宝」へと昇り詰めていく様を圧倒的な熱量で体現した。横浜流星演じるライバルとの切磋琢磨や、芸の深淵に触れる瞬間の描写は圧巻。伝統芸能の美しさと、そこに命を懸ける者たちの業が胸を打つ。日本舞踊や歌舞伎における床山の存在が世界に知られたことは非常に大きな一歩だ。
🎞️『フランケンシュタイン』(Netflix独占配信中)
ギレルモ・デル・トロ監督が長年熱望してきたメアリー・シェリーの名作をついに実写化した。孤独、愛、そして生命の尊厳を問う深遠なテーマが、実力派キャストの演技と緻密な造形によってさらに深化。傲慢な科学者ヴィクターが生み出した“怪物”の悲哀を、監督特有の美しくも恐ろしいゴシック・ホラーとして再構築している。ジェイコブ・エロルディに施された特殊メイクは恐ろしく、同時にため息が漏れるほど美しい。
🎞️『アグリーシスター 可愛いあの娘は醜いわたし』(上映ほぼ終了/未配信)
シンデレラの義姉の視点から描かれる、北欧発の衝撃的な“美容”ホラー。王子の花嫁になるため、母親から過酷な整形手術などを強要される少女エルヴィラ。美への執着が狂気へと変貌していく様が、グロテスクかつ耽美な映像で綴られている。ルッキズムへの痛烈な皮肉が込められた本作は、観る者の価値観を激しく揺さぶるだろう。その強烈なビジュアルは直視するのが困難なほど衝撃的だが、17世紀の衣装を濃厚に再現したスタイリングも見事で、ダークホース扱いは失礼なほど映画としての完成度が高い。
🎞️『罪人たち』(一部劇場で凱旋上映あり)
ライバル不在と言われるほど高い評価を得た、ライアン・クーグラー監督とマイケル・B・ジョーダンの再タッグ作。1930年代の米南部を舞台に、禁じられた酒場を開いた双子の兄弟が、正体不明の“招かざる客”によって絶望の淵に立たされる一夜を描く超常現象スリラー。人知を超えた恐怖と、極限状態で試される人間性を圧倒的な没入感で提供する。史上最多の16部門にノミネートされた勢いでもって、同部門もかっさらう可能性は高い。
🎞️『スマッシング・マシーン』(5月15日[金]公開)
かつて格闘技界を席巻したマーク・ケアーの激動の人生を描く実話ドラマ。ドウェイン・ジョンソンが従来のイメージを覆す特殊メイクや役作りで、最強の男が抱えていた孤独や鎮痛剤依存、再起への苦闘を熱演している。日本で活躍したPRIDE時代も描かれ、大沢たかおや光浦靖子らが出演。エミリー・ブラント演じる恋人との関係性など、格闘技ファンならずとも心揺さぶられる人間賛歌に仕上がっている。メイクを担当したのは日本出身のカズ・ヒロで、ある意味では『国宝』の最強のライバルと言えるかもしれない。
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