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鬼才ランティモスは韓国カルト映画をどう料理した?『ブゴニア』監督&キャストが明かす驚きの制作秘話

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ライター:#斉藤博昭
鬼才ランティモスは韓国カルト映画をどう料理した?『ブゴニア』監督&キャストが明かす驚きの制作秘話
『ブゴニア』©︎2025 FOCUS FEATURES LLC.
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ランティモス、ストーン、プレモンスら登壇!
『ブゴニア』バーチャル会見レポート

今年の第98回アカデミー賞で、作品賞、主演女優賞など4部門にノミネートされた『ブゴニア』が2月13日(金)より全国公開となる。

『ブゴニア』©︎2025 FOCUS FEATURES LLC.

監督のヨルゴス・ランティモスは、2023年の『哀れなるものたち』、2018年の『女王陛下のお気に入り』でも作品賞ノミネートを果たし、『哀れなるものたち』はヴェネチア国際映画祭の最高賞である金獅子賞。その他にも名だたる映画祭で受賞が続くなど、ここまで世界的にハイレベルな業績を残している監督は稀だ。

ランティモスは、不条理な関係性やドラマを、皮肉やブラックユーモア、衝撃的なシチュエーションとともに描き、こちらの心を激しくざわめかせるのが作風。そこから人間社会に隠れた深いテーマを炙り出したりもする。その意味で、リトマス試験紙のように観る者の感性が試され、時として好き/嫌いが極端に分かれることも。

そのランティモスにとっても、『ブゴニア』は異例のチャレンジ。韓国映画『地球を守れ!』(2003年)のリメイクである。カルト的人気も得たオリジナル作品を、アメリカに舞台を移し替えて、どのように料理したのか?

製薬会社の女性CEO、ミシェル・フラーが、自宅に帰宅する際に2人の男に襲われ、誘拐されてしまう。ミシェルを自宅の地下に監禁したのは、彼女の会社で末端労働者として働くテディと、その従弟のドン。陰謀論者のテディは、ミシェルを地球を滅ぼす宇宙人だと信じ込み、宇宙船に待機する仲間とともに地球を撤退するように命じるのだが……。

『ブゴニア』©︎2025 FOCUS FEATURES LLC.

たしかにランティモス映画にふさわしい、奇抜でセンセーショナルな世界に導くストーリーだ。そして、監督の独創的スタイルが作品に絶妙にマッチし、『ブゴニア』はこれまでにないほど入り込みやすい作りになったとも言える。

『ブゴニア』©︎2025 FOCUS FEATURES LLC.

製作には『ミッドサマー』(2019年)の監督のアリ・アスターや、『パラサイト 半地下の家族』(2019年)のチームが関わるという豪華な布陣。そして脚本には『ザ・メニュー』(2022年)やドラマ「メディア王 ~華麗なる一族~」(2018年~)を手がけたウィル・トレイシーが呼ばれた。オリジナル版から、どのようなアプローチで『ブゴニア』の脚本に取り組んだのか。

撮影メイキング 『ブゴニア』©︎2025 FOCUS FEATURES LLC.

2025年秋に、賞レースの投票者向けに行われた、ヨルゴス・ランティモス監督、ウィル・トレイシー、主演のエマ・ストーンジェシー・プレモンスのヴァーチャル会見は、そのトレイシーが関わったきっかけから話がスタートした。

 

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「鑑賞する者に結論が委ねられるアートが必要になる」

トレイシー:ニューヨークのイーストビレッジで、アリ・アスターから『地球を守れ!』について聞かされました。私はその映画を知らなかったうえに、アリも内容を詳しく教えてくれません。そこで予備知識なく『地球を守れ!』を観たところ、たしかに現代のアメリカ的映画に作り直せると確信できたのです。

当時、パンデミックでニューヨークはロックダウンされ、私には子供が産まれたばかりで、これから何を信じて生きていけばいいか不安と混乱の精神状態でした。その感覚が脚本に影響を与えたのかもしれません。

トレイシーとランティモスによって完成された脚本は、役をオファーされたエマ・ストーン、ジェシー・プレモンスに送られた。2人はランティモスの前作『憐れみの3章』でも共演しており、続けての配役となる。

ストーンに至っては、今回がランティモスと5度目のタッグ(1本は短編作品)。文字どおり、監督の“ミューズ”になっているわけだが、ストーン本人は『ブゴニア』の脚本をどう受け止めたのか。

ストーン:脚本というものは、最初の20ページか30ページを読んだ段階で、自分に語りかけてくる作品かどうか判断できるものです。私は『地球を守れ!』を観ていなかったので、ミシェルがどういう人物なのか、そしてテディがどんな手段に出るのか、そんな妄想が頭の中をぐるぐる駆け巡りました。

そして脚本の後半へ行くと、とにかく予想外の驚きと感動が用意されていたので、私は心から夢中になり出演を決めたのです。

『ブゴニア』©︎2025 FOCUS FEATURES LLC.

テディ役のジェシー・プレモンスは、世界の現実を重ねながら、次のように付け加える。

プレモンス:現代の私たちは方向感覚を見失い、パラノイアや恐怖にさらされています。そういう時代だからこそ、鑑賞する者に結論が委ねられるアートが必要になるのでしょう。ウィルが書いた脚本には、分断された世界の両面が込められていました。

ミシェルとテディを同じ部屋に閉じ込めたら、どんなことが起こるのか? その力学は、過去に目にしたことのない作用を起こすと確信できたのです。そのうえでテディという役に「こんなチャンスは2度と来ないだろう」とワクワク感が止まりませんでした。

『ブゴニア』©︎2025 FOCUS FEATURES LLC.

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『ブゴニア』

人気絶頂のカリスマ経営者として脚光を浴びるミシェル(エマ・ストーン)が誘拐された。犯人は、陰謀論に心酔するテディ(ジェシー・プレモンス)とドン(エイダン・デルビス)の2人組。ミシェルが地球を侵略しにきた宇宙人だと信じてやまない彼らの要求はただ一つ。「地球から手を引け」彼らの馬鹿げた要望を一蹴するミシェルだが、事態は思わぬ方向へと加速していき——。

監督:ヨルゴス・ランティモス
脚本:ウィル・トレイシー

出演:エマ・ストーン ジェシー・プレモンス エイダン・デルビス

制作年: 2025