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『カリギュラ 究極版』公開記念! 独裁、圧政、粛清、酒池肉林、不条理な暴力。権力の狂気を描いた“暴君”映画5選

『カリギュラ 究極版』公開記念! 独裁、圧政、粛清、酒池肉林、不条理な暴力。権力の狂気を描いた“暴君”映画5選
『カリギュラ 究極版』© 1979, 2023 PENTHOUSE FILMS INTERNATIONAL

オリジナル公開から45年。破棄されたと思われていたフィルムが奇跡的に発見され、90時間以上の素材を再編集した『カリギュラ 究極版』が、2026年1月23日(金)より公開されます。

ペントハウス誌の創設者ボブ・グッチョーネが巨額を投じて製作。官能映画の巨匠ティント・ブラスが監督、「パリは燃えているか」のゴア・ビダルが脚本を担当した本作では、“暴君”と呼ばれたローマ帝国第3代皇帝カリギュラの狂気と堕落が、倫理観を揺るがす衝撃的なシーンとともに描かれます。

権力が人を狂わせるのか、それとも狂気を持つ者が権力を握るのか――。古今東西、“暴君”と呼ばれる支配者たちは、歴史に恐ろしい爪痕を残してきました。独裁、圧政、粛清、酒池肉林、不条理な暴力。絶対的な権力を手にした者たちが見せる人間性の崩壊は、観る者に恐怖と同時に人間という存在への深い問いを投げかけます。そこで今回は、『カリギュラ 究極版』の公開を記念して、権力の狂気に囚われた“暴君”の姿を描いた映画5作品を紹介します。

権力に酔いしれ、一度でも甘い汁を吸ってしまったら

『王と鳥』(1980年)

監督:ポール・グリモー
声の出演:パスカル・マゾッティ、ジャン・マルタン、レイモン・ビュシェール ほか

【あらすじ】
天高くそびえ立つ宮殿に君臨する、孤独で横暴な王。彼の秘密の部屋には3枚の肖像画が飾られていました。美しい羊飼いの娘、煙突掃除の青年、そして王自身の肖像です。ある夜、娘と青年の絵が動き出し、二人は恋に落ちます。それを知った王の肖像画もまた動き出し、二人の仲を引き裂こうと追いかけます。娘と青年は絵から抜け出し、一羽の鳥に導かれて宮殿の迷路のような階段を駆け降りていき……。

【おすすめポイント】
フランス初の長編アニメーション映画として1952年に製作されたものの、ポール・グリモー監督の意に反する形で公開された『やぶにらみの暴君』を、監督が20年以上の歳月をかけて作り直した執念の傑作。高畑勲や宮崎駿も深く影響を受けたと語るこの作品は、虚栄心に満ち、些細なことで人々を投獄し、自分の思い通りにならないものは全て排除する独裁的な王を寓話として描いています。

『ヒトラー ~最期の12日間~』(2004年)

監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演:ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ララ、ユリアーネ・ケーラー ほか

【あらすじ】
1945年4月20日、第二次世界大戦は終焉を迎えようとしていました。ベルリンは連合軍に包囲され、ドイツ軍は壊滅寸前。ヒトラーは側近や家族とともに首相官邸の地下要塞に隠れ、ヒトラーの個人秘書であるトラウドゥル・ユンゲもそれに続きます。そこで彼女は、冷静さを失い狂気に陥っていくヒトラーの姿を目の当たりにし……。

【おすすめポイント】
歴史家ヨアヒム・フェストの同名ノンフィクションとヒトラーの個人秘書ユンゲの回顧録を基に、独裁者の知られざる側面を浮き彫りにした実録ドラマ。ヒトラーという暴君を単なる悪の権化ではなく、現実逃避と妄想に取り憑かれた一人の人間として描いています。暴君の人間的側面を描くことで、逆に独裁の恐ろしさがより鮮明に浮かび上がります。

『十三人の刺客』(2010年)
監督:三池崇史
出演:役所広司、山田孝之、伊勢谷友介 ほか

【あらすじ】
江戸時代末期。将軍・家慶の弟で明石藩主・松平斉韶(なりつぐ)の罪なき民衆に不条理な殺戮を繰り返すなどの暴君ぶりには目に余るものがありました。しかも斉韶は将軍の弟という地位を笠に着て、誰も逆らえない状況にあります。このままでは幕府そのものが滅びると危機感を募らせた老中・土井利位は、御目付・島田新左衛門に斉韶暗殺の密命を下しますが……。

【おすすめポイント】
1963年の傑作時代劇を三池崇史監督がリメイクした、壮絶な時代劇エンターテインメントです。
本作の暴君・松平斉韶は稲垣吾郎が演じ、バラエティ番組などでみせる親しみやすい“吾郎ちゃん”を一切感じさせない狂気溢れる演技で観客に衝撃を与えました。彼が演じる暴君・斉韶の、「遊びだ」と言いながら人を殺し、「面白い」と笑いながら人々を苦しめる姿は、絶対的な権力が人間をいかに歪めるかを示しているのではないでしょうか。

『マクベス』(2021)

監督:ジョエル・コーエン
出演:デンゼル・ワシントン、フランシス・マクドーマンド、コーリー・ホーキンズ ほか

【あらすじ】
中世スコットランド。戦場で武功を立てた将軍マクベスは、帰路で3人の魔女と出会います。魔女たちは「汝は王になる」とマクベスに予言を告げます。その言葉に心を揺さぶられたマクベスは、野心的な妻に唆され、主君であるダンカン王を暗殺して王位を簒奪します。しかし、血で手に入れた王冠が彼に平穏をもたらすことはなく……。

【おすすめポイント】
シェイクスピアの四大悲劇の一つを、コーエン兄弟のジョエル・コーエンが映画化。デンゼル・ワシントンとフランシス・マクドーマンドという2人のオスカー俳優が、マクベス夫妻を演じています。マクベスは王殺しという大罪を犯し王位を手に入れますが、疑心暗鬼と恐怖に支配され、次々と殺人を重ねていきます。権力を手に入れるために罪を犯した者が、その権力を守るためにさらに罪を重ね、やがて破滅へと向かう――この普遍的なテーマは、まさに暴君の典型的なパターンに思えます。

『独裁者』(1940年)

監督:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャップリン、ジャック・オーキー、ポーレット・ゴダード ほか

【あらすじ】
第一次世界大戦末期、トメニア国の兵士として戦線に出ていたユダヤ人の床屋チャーリーは、戦傷により記憶を失ってしまいます。その後、トメニアは独裁者ヒンケルが支配する国となり、ユダヤ人への過酷な迫害が始まっていました。激変した状況を知らないまま退院したチャーリーは、ゲットーに戻り床屋の仕事を再開しますが……。

【おすすめポイント】
チャールズ・チャップリンが製作・監督・脚本・主演(2役)を務めた風刺コメディです。チャップリン初のトーキー作品にして彼の最高傑作とも言われます。アドルフ・ヒトラーとナチスドイツを痛烈に風刺したこの映画が、1940年という、第二次世界大戦の最中に製作されたことにも注目です。デタラメなドイツ語風の言葉や、地球儀の風船で遊ぶ姿など、暴君の狂気と虚栄心を見事に風刺した姿から、逆説的に暴君の本質が見えてくるのではないでしょうか。

権力が人間を狂わせるのか、それとも狂気を持つ者が権力を握るのか――、それぞれ異なる角度から“暴君”の姿を浮き彫りにした5作品になったと思います。

“暴君”を描いた映画は、歴史の記録や娯楽といった枠を超え、権力とは何か、人間性とは何か、正義とは何か――、そんな根源的な問いを私たちに投げかけてくれます。「絶対的な権力は絶対的に腐敗する」この有名な言葉が示すように、権力者への監視と抑制は、民主主義社会の根幹です。これらの作品を通じて、権力の本質について改めて考えてみてはいかがでしょうか。

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