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「“言葉の力”そのものを描いている」“安楽死”をテーマに描く衝撃作『安楽死特区』脚本・丸山昇一インタビュー

「“言葉の力”そのものを描いている」“安楽死”をテーマに描く衝撃作『安楽死特区』脚本・丸山昇一インタビュー
©「安楽死特区」製作委員会

近未来の日本で「安楽死法案」が可決され、国家主導で導入された制度のもと、人間の尊厳、生と死、そして愛を問う衝撃の社会派ドラマ『安楽死特区』が、1月23日(金)より公開される。このたび、脚本・丸山昇一のオフィシャルインタビューが到着した。

安楽死を描く衝撃の社会派ドラマ

原作は、在宅医として2500人以上の看取りを経験してきた医師で作家の長尾和宏による同名小説(ブックマン社刊)。近未来の日本政府が承認する安楽死の要件を満たしてもなお、葛藤する人々の心情をリアルに描く。監督は、『痛くない死に方』(2020)、『夜明けまでバス停で』(2022)などの高橋伴明。脚本は、『野獣死すべし』(1980)、『一度も撃ってません』(2020)などの丸山昇一。名匠の初タッグが本作でようやく叶った。

舞台は今から数年後の日本。欧米に倣って安楽死法案が可決した。それでも反対の声が多いため、国は実験的に「安楽死特区」を設置することに。主人公のカップルは、回復の見込みがない難病を患い、余命半年と宣告されたラッパー・酒匂章太郎と、彼のパートナーでジャーナリストの藤岡歩。安楽死法に反対のふたりは、特区の実態を内部から告発することを目的に、国家戦略特区「安楽死特区」への入居を決意する。そこでふたりが見たのは、安楽死を決意した人間たちの愛と苦悩。そして医師たちとの対話を通じて、ふたりの心に微細な変化が訪れるが…。

<脚本・丸山昇一 オフィシャルインタビュー>

——脚本を手掛ける経緯を教えてください。
僕がデビューしたのは1979年ですが、その1〜2年後くらいに映画情報誌「シティロード」で高橋監督と対談しました。僕はアメリカン・ニューシネマ的な、はっきりしない生き方の青春群像を書いていて、悩みながらも漂うように生きる人たちを描くことが多かった。一方で高橋監督の作品はまったく違っていて、男も女も非常に強い生き方を描いていた。暴力的でもあるし、同時に傷つくことにも激しい。悩んでも閉じこもらず、力強く生きている。それを粉飾せずストレートに描いていることにショックを受けました。その対談の後、新宿ゴールデン街で飲んで、意気投合しました。その夜のうちにタクシーの中で「いつか一緒にやりたいな」と話して、それから45年。ずっとその思いを抱えてきたんです。

——原作を読んでどう感じましたか?
すごく骨のある原作でした。医師である長尾さんが書かれているだけあって、医学的なリアリティーも濃い。初小説とは思えないほど構成もしっかりしていました。ただ、映画にするには分量が多すぎる。僕と監督は、そこをどう削って映画的に再構成するかをずっと話し合いました。

——脚本化するうえで、どのような方針を立てられたのでしょう?
まず主人公の二人と、彼らをつなぐ“おばあさん漫才師”の三人に焦点を絞りました。三味線とラップを媒介に、人と人がつながる物語にしたかったんです。原作からは特区という絶妙な設定と、一部の登場人物の魅力あるキャラクター像を有り難くいただいて、あとはほぼ映像作品用のオリジナルです。

——本作では“ラップ”が印象的です。
『狂気の桜』という映画で、ヒップホップアーティストの方々とご一緒したことがあったんです。“死”を前にして、人はどうやって本音を伝えるか。「言いたいことは伝わっているか」「相手に届いているか」——その不安と葛藤を描くのに、ラップという“自分の言葉を自分で刻む表現”がぴったりだったんです。

——主演のお二人は「リアルなセリフだった」と話されていました。
説明的なセリフは極力排しました。この映画は情報量が多い——安楽死制度の背景や医療現場などを観客が理解するための情報が山ほどある。でも、映画で一番大事なのは“説明しないこと”。登場人物が普通の会話をしているうちに、観客が自然と状況を理解していくこと。だから敢えて日常のテンポ、間を大事にしました。

——完成した作品はどう観ましたか?
やっぱり高橋伴明のものすごい力感に圧倒されます。迷いがないんです。限られた時間と予算の中で、一切の妥協なく「何を言うか」を貫いている。医師たちの前で章太郎と歩が感情をぶつけ合うシーンなんて、普通なら短くするところを「もっと長くしていい」と監督が言った。つまりこの映画は、その“言葉の力”そのものを描いているんです。毎熊さんも大西さんも難しい役を見事に演じてくれた。脚本家として、これ以上の幸せはありません。

丸山昇一さん
©「安楽死特区」製作委員会

『安楽死特区』は1月23日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開

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