「第45回青龍映画賞」で最優秀脚本賞と新人監督賞をダブル受賞した、俳優チョ・ヒョンチョルの長編監督デビュー作『君と私』が、11月14日(金)より、公開される。このたび、メロディにのせて熱唱する切なさ溢れるカラオケシーンが解禁となった。さらに、本作を鑑賞した各界著名人から推薦コメントが到着した。
セウォル号沈没事故を題材に、2人の少女の恋模様を描く
本作は、2014年4月に韓国で発生したセウォル号沈没事故を題材に、済州島行きの修学旅行を明日に控えた2人の女子高生セミとハウンが過ごす、夢のような1日を描いた物語。
監督・脚本を手掛けたのは、ドラマ『D.P.-脱走兵追跡官-』など、名バイプレーヤーとして多種多様な役柄で活躍する俳優チョ・ヒョンチョル。長編監督デビュー作ながら、7年の歳月をかけて丁寧に織り上げた脚本は高い評価を受け、「第45回青龍映画賞」にて『ソウルの春』や『パスト ライブス 再会』などの大ヒット作を押さえ、最優秀脚本賞と新人監督賞をダブル受賞する快挙を果たした。撮影には、これまで広告やMVを中心に手がける新進気鋭の映像作家DQM。さらに、日本でも人気の高い韓国の4ピースバンド・ヒョゴのメインボーカルを務めるオヒョクが音楽を手掛け、韓国カルチャーシーンを牽引するクリエイターが集結。
本編映像は、主人公・セミ(パク・ヘス)が、友人たちと放課後に訪れたカラオケで、想いを寄せるハウン(キム・シウン)への溢れ出る気持ちを、メロディにのせて熱唱する姿を描いた場面。セミが感じている「恋」の質感を、より分かりやすく表現するため、2000年代に活躍した4人組女性ボーカルグループ・Big Mamaのヒット曲「諦め」が起用された。本楽曲は、韓国ではカラオケの定番として知られる、代表的な失恋ソング。カラオケの背景画面に映るセミとハウン2人の姿と、 切ない歌声が、エモーショナルな感情を揺さぶる、印象的なシーンとなっている。
<コメント>
ハン・ジュニ(『D.P. -脱走兵追跡官-』監督)
映画の中盤あたりからだったでしょうか。涙が出はじめて、映画が終わってからもしばらく泣きました。つらいけれど、長く記憶しなければならない瞬間たちも時間が経てば無意味になってしまうと言われます。そんな瞬間をつかまえて、見つめ、観客に伝えることも映画が存在する理由だとするなら、この映画はまさにその証明です。優しいけれど、深く深く、登場人物たちの感情に切実に共感させる映画『君と私』。
イ・ヨンエ(女優)
監督チョ・ヒョンチョルの作品を心待ちにしていました。とても繊細で叙情的で、切なく儚い作品です。
ソン・チョイ(『調査官ク・ギョンイ』脚本家)
十分に長い時間をかけて細やかに観察された、愛の風景。その輝かしい瞬間、瞬間が目も眩むほど美しい。
イ・ジョンピル(『サムジンカンパニー1995』監督)
愛が消えてしまったかのような世界で、必ず見るべき映画。
私たちは粉々に壊れたとしても、あなたと私はつながっているのだと、最後には証明してくれる。
ヤマシタトモコ(漫画家)
2022年百想芸術大賞でのチョ・ヒョンチョルのスピーチを見た時、傷ついたままでいられる優しさと強さを備えた人物だと思った、その時そのままの印象の映画だった。何度も思い出しそうだ。
太田莉菜(モデル・俳優)
わたしは光の粒子になって少女2人を取り囲む全ての時間の中に漂っている。生きた言葉たちが意識の中にみずみずしくしみこんでくる。これから春の陽光ややわらかな風を浴びる時、チョ・ヒョンチョル監督が授けてくれた2人が愛し、愛しあった永遠の時間を思い出すとおもう。
ゆっきゅん(DIVA)
毎日好きだった。息ぴったりで悲しかった。毎日未熟だった。うまく伝えられなかった。
この一日を見たらその時間の蓄積がわかる。夢のように苦しくなる素晴らしい映画。
枝優花(映画監督・脚本・写真家)
「あんたは自分のことしか考えてない」そりゃそうだ、自分の人生なのだから。でも、大切な人に愛されたいと思ったとき自分に向けている眼差しをその相手に向けることが実はそれが自分の心を本当の意味で眼差す、ということなのかもしれない。でも私たちはそのことに失って初めて気づく。何度も何度も繰り返していつになったら手遅れではなくなるのだろうか。人生は有限なのだといつになったらわかるのだろうか。
向坂くじら(詩人)
大切な人を亡くしたとき、わたしたちはその人が生きていたということを忘れたくないと思う。だけどそれは結局のところ、なにを覚えておきたいという望みなんだろう。たやすく失われてしまうそのものとは、つまりなにのことだろう。触れれば血が脈うつようなその内実を、この映画は映し出そうとする。
前田エマ(モデル)
今日も、そして明日も、平等にあると思って疑わなかった青春の1日。そんな、なんてことのない大切な1日に、君がくれた言葉やまなざしが、まるで白昼夢のように私を包む。いつまでも手を振る君を、淡い光のなかで、見ていたいのに。
稲川右樹(帝塚山学院大学准教授・韓国語教育専門家)
当時、僕はソウルの自宅で、船体が若い命と共に深く冷たい海の底に沈んでいくのを、リアルタイムでただただ見つめていた。セウォル号は同時代を生きた韓国の人々にとって、単なる事件ではなく極めて強い当事者性を持った「体験」となった。この作品の「君」は「私」だったかもしれないし、「私」は「君」だったかもしれない。この作品を観る私は「私」だったかもしれないし、「君」だったかもしれない。
『君と私』©︎2021 Film Young.inc ALL RIGHTS RESERVED
『君と私』は11月14日(金)より渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開