Variety誌が“傑作”と唸ったスペインの俊英、過去3作品特集上映『アントニオ・メンデス・エスパルサの映画』

Variety誌が“傑作”と唸ったスペインの俊英、過去3作品特集上映『アントニオ・メンデス・エスパルサの映画』
『ヒア・アンド・ゼア』© Aquí y Allí Films

Variety誌が“傑作”と唸ったスペインの俊英アントニオ・メンデス・エスパルサ監督最新作『サムシング・ハプンズ・トゥ・ミー』の公開を記念して、同監督の過去作、3作品が、10月31日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷にて公開が決定した。

アントニオ・メンデス・エスパルサの映画

上映作品は、2012年カンヌ国際映画祭批評家週間グランプリを受賞した『ヒア・アンド・ゼア』(2012年)、2018年フィルム・インディペンデント・スピリット賞でジョン・カサヴェテス賞を受賞した『ライフ・アンド・ナッシング・モア』(2017年)、フロリダ州タラハシーの家庭裁判所を撮影した初のドキュメンタリーである『家庭裁判所 第3H法廷』(2020年)の3作品。これらの上映を<アントニオ・メンデス・エスパルサの映画>と題して、10月31日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷にて上映する。

『ヒア・アンド・ゼア』(2012年)

アメリカでの長い出稼ぎ生活を終えて、故郷のメキシコの村に戻ったペドロが、妻や二人の娘と再会し、地元でバンド“コパ・キングス”を組もうとする姿を描く。ペドロは家族との距離感や変わりゆく村の暮らしに向き合いながら、絆を取り戻そうとする。 劇中の歌は、ミュージシャンでもある主演のペドロ・デ・ロス・サントスが手がけた。登場人物の多くも実際の村人たちが演じており、フィクションとドキュメンタリーが交錯する独自のスタイルで、リアルな日常と普遍的な家族の物語を紡いでいる。

2012年のカンヌ国際映画祭批評家週間でグランプリを受賞した長編デビュー作。モントリオール・ヌーヴォー・シネマ映画祭で最優秀作品賞、テッサロニキ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞するなど、世界中の映画祭で高く評価され、国際的な注目を集めた。

『ヒア・アンド・ゼア』© Aquí y Allí Films

『ライフ・アンド・ナッシング・モア』(2017年)

フロリダで暮らすアフリカ系アメリカ人一家の苦境を描く。レジーナは家族を養うためにダイナーで働きながら二人の子どもを育てている。思春期のアンドリューは度々問題を起こし、現在は保護観察中。レジーナに新たな恋人が現れたことで、アンドリューの不安と焦燥は一層大きくなっていく。

前作『ヒア・アンド・ゼア』同様、地元住民をキャストに起用。脚本には教育やカウンセリングの専門家へのインタビュー、司法関係者へのリサーチを反映させた。撮影中は俳優から得られるインスピレーションを積極的に取り入れ、リアルな映画づくりを追求した。

長編2作目。アメリカ・フロリダ州を舞台にした初の英語作品。2016年の米大統領選挙期間中に撮影された。2017年サン・セバスティアン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。2018年フィルム・インディペンデント・スピリット賞でジョン・カサヴェテス賞を受賞した。

『ライフ・アンド・ナッシング・モア』© Aquí y Allí Films

『家庭裁判所 第3H法廷』(2020年)

アメリカ・フロリダ州タラハシーの家庭裁判所。虐待や育児放棄などを理由に保護された子どもを、親のもとに戻すか否かをめぐり、様々なケースが審理される。裁判所は法に基づき、可能な限り早期かつ安全な家族の再統合を目指す。2019年に300件以上の審理を記録し、その中から重要なケースをピックアップしている。裁判官、検察と弁護士、児童家族局、里親やソーシャルワーカーなど、関係者それぞれの真摯な姿勢が胸を打つドキュメンタリー。

長編3作目にして初のドキュメンタリー作品。サン・セバスティアン国際映画祭のオフィシャルセレクションに選出され、プレミア上映された。前作『ライフ・アンド・ナッシング・モア』制作時に取材した裁判官が務める家庭裁判所での審理を、ダイレクト・シネマ的アプローチで記録した作品。

『家庭裁判所 第3H法廷』©Aquí y Allí Films, 9AM Media Lab

アントニオ・メンデス・エスパルサ(プロフィール)
1976年1月7日、スペイン・マドリード生まれ。大学で法律を学んだ後に渡米し、ロサンゼルスのUCLAで映画制作を学ぶ。その後、ニューヨークのコロンビア大学で映画制作のMFA(芸術修士号)を取得。在学中に制作した短編『Una y Otra Vez』(2009年)は、スペイン公共放送RTVE主催「Versión Española–SGAE」最優秀スペイン短編映画賞やロサンゼルス映画祭の最優秀短編賞を受賞した。
長編初監督作品『ヒア・アンド・ゼア』(2012年)は、2012年カンヌ国際映画祭批評家週間でグランプリを受賞。その後、『ライフ・アンド・ナッシング・モア』(2017年)、フロリダ州タラハシーの家庭裁判所を撮影した初のドキュメンタリー『家庭裁判所 第3H法廷』(2020年)を発表し、国際的な評価を得る。
最新作『サムシング・ハプンズ・トゥ・ミー』(2023年)は、長編4作目にして初めて母国スペインで撮影された作品となる。2013年からはフロリダ州立大学映画芸術学部で映画制作の講義を受け持っている。

『アントニオ・メンデス・エスパルサの映画』

『アントニオ・メンデス・エスパルサの映画』は10月31日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷にてロードショー

Share On
  • Twitter
  • LINE
  • Facebook