「層間騒音」って何?
「どこかで誰かが騒いでいるのかな……」なんてスルーしていたノイズ、日常生活で気に留めないようにしてきた雑音に、もっともイヤな形で“意味”や“理由”を付与してくれる韓国ホラー映画『層間騒音』が、10月10日(金)より全国公開となる。
『層間騒音』© 2025 FINECUT Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED
タイトルの『層間騒音(そうかんそうおん)』は実際に韓国で使われている言葉だそうで、原題の『노이즈』はズバリ「ノイズ」と読む。イヤホン等の機能説明なんかでも使われる言葉なので馴染み深く、しかしエンタメ作品のタイトルとして多用されがちなので、四字熟語的な邦題はインパクト的には正解だろう(初見では“眉間”と読んでしまいそうだが)。
Jホラーの名作『仄暗い水の底から』(2002年)を引き合いに出されるとおり、本作は集合住宅で起こる恐怖を描いている。つまり隣人および上階/下階でトラブルの原因になりがちな生活音をテーマにしているのだが、物語の軸となるのは“音”――日常に潜む不快な騒音――が引き起こす、社会的・心理的な軋轢だ。
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妹の失踪と“聴こえない騒音”の関係とは
聴覚障がいを持つソ・ジュヨンはある日、妹のジュヒが住んでいた団地から突然失踪したと知らされる。2人は以前一緒に暮らしていたが、ジュヒは騒音が聞こえると言い始め、ジュヨンには補聴器を付けてもその騒音が聞こえず、食い違いから喧嘩になったきり会っていなかった。
ジュヨンがひさしぶりにジュヒの部屋を訪れると、天井にはびっしりと防音シートが敷き詰められていた。直後、尋ねてきた下階の住人に「夜は静かにしてもらえますか、これ以上うるさくしたらその口を裂く」と脅されるジュヨン。しかし、ジュヒが失踪した後の部屋には誰も居なかったはずだ。
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妹が見つかるまで部屋に泊まることにしたジュヨンだったが、補聴器を介して奇妙な音が聞こえ始める。やがて音だけでなく何かの存在も感じるようになり……これらは妹の失踪に関係しているのか、それとも――。
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日常に潜む“音”の暴力的な恐怖
本作の裏主人公とも言えるのが、立体的かつテクスチャーをコロコロと変える“音”そのものだ。それは注意深く聴けば分かるといった程度のものではなく、終始映画の中心に居座り続ける。聴覚障がいを持つ主人公の視点で語られることもあって、補聴器の有無や聴者とのギャップなどによっても”音の幅”が上下左右に膨らんだり縮んだり、止まったり現れたりする。
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妹ジュヒが苦しんだ騒音の正体はいったい何なのか。ジュヨンが妹の行方を探す過程で、下階の住人の異常性や団地の地下室の謎、恐ろしい幻覚(悪夢?)、そして音声認識アプリだけが反応する“聴こえない声”や貞子みのある人影などなど、スリラー/ホラー要素がじわじわ充電されていき、フィジカルに胸を圧迫する。
そして、歯ぎしりのような“キリキリキリ……”という音、骨鳴りのような”カキコキコキ……”という音、頭頂部にまでツーンと響く耳鳴り音などなど生理的嫌悪を煽りまくるノイズのオンパレードによって、層間云々を超えたストレスと恐怖を植え付けてくる。
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