ド派手なアクション、華やかなダンスと音楽だけじゃない!? 珠玉のインド映画10選

ド派手なアクション、華やかなダンスと音楽だけじゃない!? 珠玉のインド映画10選
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日本におけるインド映画ブームの原点とも言える『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995年)から始まり、『バーフバリ 伝説誕生』(2015年)『バーフバリ 王の凱旋』(2017年)、そして興行収入20億円超えのロングラン大ヒットを記録した『RRR』(2022年)など、かつてないほどインド映画が注目を集めています。

確かにこれらの作品が持つ圧倒的なスケール感、ド派手なアクションシーン、そして華やかなダンスと音楽は、インド映画の大きな魅力のひとつですが、世界最大の映画産業国ともいわれるインドが生み出す多彩な作品の魅力は、決してスペクタクルだけにとどまりません。そこで今回は、大作を通してインド映画に興味を持った人にぜひチェックしてほしい珠玉の10作品を紹介します。

『きっと、うまくいく』(2009年)

監督:ラージクマール・ヒラニ
主演:アーミル・カーン、カリーナ・カプール、R・マーダヴァン

インドの超名門理系大学を舞台に、型破りな学生ランチョーと親友たちの青春時代と、彼らの10年後が交差しながら描かれるコメディドラマ。3人の主人公の学園生活をユーモラスに描きながら、インドの苛烈な学歴社会やそれにまつわる問題といった重いテーマにも切り込んだ、笑いと感動に満ちた傑作です。「All is well(きっと、うまくいく)」という劇中の合言葉は、観る者に勇気を与えてくれます。インド映画初心者にもおすすめです。

『女神は二度微笑む』(2012年)

監督:スジョイ・ゴーシュ
主演:ヴィディヤ・バラン、パランブラタ・チャテルジー、ナワーズッディーン・シッディーキー

失踪した夫を探し出すために、大都市・コルカタへとやってきた妊婦の孤独な奮闘を描いたミステリー。インド映画の代名詞ともいえるダンスや派手なアクションを封印した本格的なサスペンス作品であり、女性の社会的地位や警察の腐敗といった社会問題も鋭く描いています。二転三転する展開と予想のつかない結末で、最後まで油断できない至極のミステリーになっています。

『マダム・イン・ニューヨーク』(2012年)

監督:ガウリ・シンデー
主演:シュリデヴィ、アディル・フセイン、メーディ・ネブー

英語が話せないことで夫や娘から軽く扱われている専業主婦のシャシ。ある日、姪の結婚式のためにニューヨークへ一人旅することになった彼女は、英語学校に通い始めます。そこで様々な仲間たちと出会うことで、新しい自分を発見していきます。2018年に惜しくも54歳の若さでこの世を去ったインドの国民的女優シュリデヴィの繊細で力強い演技が光る、女性の尊厳と成長を描いた感動作です。

『バジュランギおじさんと、小さな迷子』(2015年)

監督:カビール・カーン
主演:サルマーン・カーン、ハルシャーリー・マルホートラ、カリーナ・カプール

インドで迷子になったパキスタンの少女ムンニと、彼女を故郷に送り届けようとするインドの青年パワン(バジュランギ)の旅を描くロードムービー。サルマーン・カーンの温かい演技と、子役ハルシャーリー・マルホートラの愛らしさが印象的で、インドとパキスタンという対立する両国の問題を、一人の少女を救おうとする男性の純粋な愛情を通して描いています。

『ダンガル きっと、つよくなる』(2016年)

監督:ニテーシュ・ティワーリ
主演:アーミル・カーン、ファーティマー・サナー・シャイク、サニャー・マルホートラ

元レスリング選手のマハヴィルが、娘たちをレスラーとして育て上げる実話を映画化したスポーツドラマ。インドでは女性がレスリングをすることに強い偏見がありましたが、マハヴィルは世間の批判に屈することなく、娘ギータとバビータを国際大会で活躍する選手に育て上げていきます。インドの家父長制社会における女性の地位向上というテーマを、父と娘の愛情深い関係を通して描いており、スポーツ映画でありながら社会派ドラマとしての側面も強い作品です。

『ガンジスに還る』(2016年)

監督:シュバシシュ・ブティアニ
主演:アディル・フセイン、ラリット・ベヘル、ギータンジャリ・クルカルニー

死期を悟り、「ガンジス川で死にたい」と聖地バラナシに行くことを家族に宣言したダヤ。息子ラジーヴは、複雑な心境を抱えながらも父の願いを叶えようとしますが……。ヒンドゥー教の死生観を、静謐で美しい映像と共に描いた作品です。死への恐怖と受容、そして家族愛が丁寧に表現されており、観る者に深い感動と人生への洞察を与えてくれます。

『パッドマン 5億人の女性を救った男』(2018年)

監督:R・バールキ
主演:アクシャイ・クマール、ソーナム・カプール、ラーディカー・アープテー

インドの農村で、妻の生理用品の高さに衝撃を受けたラクシュミが、安価で衛生的な生理用品を開発しようと奮闘する実話を映画化した社会派ドラマ。生理をタブー視するインド社会で彼の行為は不審に思われ、家族からも理解を得られない状況に陥りますが、周囲の冷たい目にも心折れず、自分の信じた道を突き進むラクシュミの強さが胸を打ちます。

『ガリーボーイ』(2018年)

監督:ゾーヤー・アクタル
主演:ランヴィール・シン、アーリヤー・バット、シッダーント・チャトゥルヴェーディー

インドで活躍するラッパー、NaezyとDivineの半生をベースにした音楽ドラマ。ムンバイのスラム街出身の青年ムラドが、ラップ音楽を通じて自分の境遇と向き合い、夢を追いかける姿を描きます。貧困や階級格差といった、現実的な問題に直面するインドの若者たちのリアルな心境を強く感じ取れる作品になっています。

『花嫁はどこへ?』(2024年)

監督:キラン・ラオ
主演:ニターンシー・ゴーエル、プラティバー・ランター、スパルシュ・シュリーワースタウ

結婚式の帰り道、同じ電車に乗った2人の花嫁が、そっくりな赤いベールのせいで夫に取り違えられてしまうという、前代未聞のかん違いから始まるヒューマンドラマです。コメディタッチでありながら、インドの結婚制度や女性の権利、家族制度といった社会的テーマも巧妙に織り込まれています。伝統と現代性が交錯するインド社会の現在を映し出した意欲作としても注目です。

『私たちが光と想うすべて』(2024年)

監督:パヤル・カパーリヤー
主演:カニ・クスルティ、ディヴィヤ・プラバ、チャヤ・カダム

大都市ムンバイを舞台に、看護師として働く女性たちに訪れた転機を静謐なタッチと音楽で描くヒューマンドラマ。現代インドで働く女性のリアルな心境が丁寧に表現されています。第77回カンヌ国際映画祭でインド映画初のグランプリに輝くなど国内外で高く評価され、インド映画の新境地を開いた作品としても注目されています。

だいぶ駆け足でしたが、インド映画に興味を持った人にぜひチェックしてほしい、インドへの理解を深められるであろう10作品を選んでみました。ぜひこれらの作品を通して、インド映画の新たな魅力を発見してみてください。

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