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美女優たちのビューティー&セクシー3連発! 美貌と演技力に眼福のオムニバス『黄色いロールス・ロイス』

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ライター:#BANGER!!! 編集部
美女優たちのビューティー&セクシー3連発! 美貌と演技力に眼福のオムニバス『黄色いロールス・ロイス』
『黄色いロールス・ロイス』© 1964 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

『黄色いロールス・ロイス』をめぐる三つの物語

1964年に公開されたオムニバス映画『黄色いロールス・ロイス』は、1931年製ロールス・ロイス・ファントムIIを軸に、異なる時代と場所で展開される三つの恋愛劇を描く。

脚本はテレンス・ラティガン、監督はアンソニー・アスクィス。『予期せぬ出来事(The V.I.P.s)』で成功を収めた製作陣が再び集結し、ジャンヌ・モロー、シャーリー・マクレーン、イングリッド・バーグマンら豪華女優陣がそれぞれの物語を牽引する。

『黄色いロールス・ロイス』© 1964 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

第1話:貴族の誇りと裏切り

英国のフリントン侯爵チャールズ(レックス・ハリソン)は、結婚10周年の記念にフランス人の妻エロイーズ(ジャンヌ・モロー)へ黄色いロールス・ロイスを贈る。アスコット競馬での勝利に沸く侯爵だったが、車内で妻が部下と密会している現場を目撃してしまい、屈辱と失望の中でロールス・ロイスを返品する決断を下す。

ジャンヌ・モローは、冷淡でありながらも複雑な感情を抱える貴婦人を繊細に演じ、彼女特有の知的な陰影が物語に深みを与えている。モローの演技は、フランス映画界で培った存在感を英国作品に持ち込んだ好例といえるだろう。

『黄色いロールス・ロイス』© 1964 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

第2話:ギャングの情婦とイタリアの恋

次に車を手にするのは、アメリカのギャング、パオロ・マルティーズ(ジョージ・C・スコット)。彼は婚約者メイ・ジェンキンス(シャーリー・マクレーン)とイタリアを旅するが、メイは現地の写真家ステファーノ(アラン・ドロン)と恋に落ちてしまう。葛藤の末、彼女はステファーノとの関係を断ち切り、元の生活へ戻る。

シャーリー・マクレーンは軽妙さと哀愁を併せ持つキャラクターを魅力的に演じ、観客の共感を誘う。彼女の演技は“ギャングの情婦”というステレオタイプを超え、自由を求める女性像として印象的に描かれている。

第3話:戦火の中の使命と別れ

すっかり使い込まれたロールス・ロイスは、アメリカの富豪未亡人ゲルダ・ミレット(イングリッド・バーグマン)の手に渡る。彼女はユーゴスラビアで反ファシスト運動に関わるダビッチ(オマー・シャリフ)と出会い、車を使って村人の避難を助けた。最終的に戦争の実態を伝える使命を託された彼女は、祖国アメリカへ帰ることを決意する。

気品と情熱を兼ね備えた演技で、戦争という重いテーマに人間的な温かみをもたらしているバーグマン。彼女の存在は映画の中で最も道徳的な核を担っており、観客に深い印象を残す。

『黄色いロールス・ロイス』© 1964 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

当時の評価は辛口ながら大ヒットでGG賞も獲得

1964年末に英国で公開された本作は批評家から賛否両論を受けたが、興行的には成功を収めている。翌年に公開された米国では540万ドルの収益を記録し、同年の興行収入トップ10入り。また、主題歌「Forget Domani」は第23回ゴールデングローブ賞で最優秀オリジナル曲賞を受賞し、音楽面でも高く評価された。

映画の構成や演出に対する批判はあったものの、後年は豪華キャストの演技やヨーロッパ各地のロケーション、そしてロールス・ロイスという象徴的存在が再評価されている。脚本家ラティガンは登場人物の心理描写に定評があり、本作でも限られた空間(車内)を舞台に濃密な人間関係を描いている。

『黄色いロールス・ロイス』© 1964 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

『黄色いロールス・ロイス』は、時代と場所を超えて人間の感情を描いた作品であり、三人の名女優たちがそれぞれ異なる女性像を体現することで、映画に多層的な魅力を与えている。ロールス・ロイスという無言の語り手が、彼女たちの人生の断片を静かに記録していく様は、今なお観る者の心に残るはずだ。

『黄色いロールス・ロイス』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2025年8月放送

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