カリスマ革命家か、ただの危険人物か?愉快で不快な実在の男と激動の時代を彩る『リモノフ』超豪華サントラ解禁
9月5日(金)より全国公開となる映画『リモノフ』から、ロシアから恋人とNYに渡り放蕩生活を送ったリモノフのダメ男時代を表す場面写真およびメイキング写真が到着。さらに、あまりにも豪華すぎる使用楽曲のラインナップも解禁された。
悪名高き実在の革命家の“愛と破滅”のシネ・バラード
『007』シリーズのQ役や『ウーマン・トーキング 私たちの選択』(22)など、ハリウッド大作から個性派監督の作品まで出演し続ける演技派ベン・ウィショーが破天荒なアナーキストを熱演した本作。
数々の文学賞を受賞しヨーロッパ中が興奮した傑作伝記小説「リモノフ」を基に、カンヌ国際映画祭の常連として知られるロシアのキリル・セレブレン二コフ監督(※2022年にロシアから亡命)が放つ、圧巻の演出と徹底したシニシズムで観る者を愉快にも不快にもさせる問題作だ。
『リモノフ』© Wildside, Chapter 2, Fremantle España, France 3 Cinema, Pathé Films.
トム・ウェイツにベルベッツ……70年代NYを彩る名曲たち
このたび解禁されたのは、NYの街並みを背景に、リモノフが踊り狂うメイキング写真。劇中、情熱的に結びついた恋人エレナとともにロシアからNYに渡ったリモノフが、詩人・作家として大成しないままの放蕩生活に嫌気がさしたエレナに愛想を尽かされ、自暴自棄になるシーンだ。
このダンスのあと、リモノフはホームレスの男性と関係を持つに至るのだが、この時期の場面写真はグラムロックを気取ったメイクやロングヘア、大きなサングラス、ベルボトムと、70年代ファッションを楽しめるものばかり。踊るリモノフの背景で流れるのは、酔いどれ詩人トム・ウェイツの「ロシアン・ダンス」。名盤『Black Rider』収録の、ロシアとバルカン半島の民俗音楽にインスピレーションを得た曲だ。
『リモノフ』撮影メイキング ©Andrejs Strokins
そのほか、アンディ・ウォーホルのミューズだったグレイス・ジョーンズの曲や、彼のファクトリーに集ったLGBTQの役者たちをモデルとしてルー・リードが作った「ワイルドサイドを歩け」など、この時代を彩った名曲たちが多く使用され、これから時代の寵児となるリモノフの未来を予感させる。
中でも、「ワイルドサイドを歩け」や「ロシアン・ダンス」は何度も登場し、イタリアの音楽家マッシモ・プピロやロシアの前衛音楽集団<Shortparis>によるアレンジバージョン、劇中の役者によるアカペラシーンなど、監督お気に入りの曲であることは間違いない。
『リモノフ』© Wildside, Chapter 2, Fremantle España, France 3 Cinema, Pathé Films.
ほかにも、リモノフが実際にロサンゼルスで知り合い1982年に結婚した歌手、故ナタリア・メドベージェワの楽曲(演奏はShortparis)も含まれ、充実した劇伴となっている。主な使用楽曲は以下のとおり。
The Velvet Underground 「I’m Waiting For The Man」:1967年
The Velvet Underground 「Sunday Morning」:1967年
Grace Jones 「Amado Mio」:1990年
Tom Waits 「Russian Dance」:1991年
Oscar Rocchi Quintet 「Rubedo」:1982年
Sex Pistols 「Pretty Vacant」:1977年
Lou Reed 「Walk on the Wild Side」:1972年
▼Spotifyプレイリスト
▼AppleMusic ※ShortparisによるOST
【エドワルド・リモノフってどんな人?】
1943年、ウクライナ出身。作家活動中の20代にソ連への反体制活動で国外追放処分を受け、アメリカに亡命後ヨーロッパへ渡る。ソ連崩壊の1991年にモスクワへ戻ると1993年に国家ボリシェビキ党を共同設立し、反プーチン・反統一ロシア党を掲げ活動していたが2020年に死去。詩人、作家、反体制派、亡命者、執事、ホームレス、兵士、活動家、革命家と、いくつもの顔を持つ。
『リモノフ』© Wildside, Chapter 2, Fremantle España, France 3 Cinema, Pathé Films.
【Shortparis(ショートパリス)とは?】
2012年、サンクトペテルブルクで結成された前衛的な音楽集団。キリル・セレブレンニコフ監督作『Leto』(18)に出演後注目を浴び、2019年にはイェーガー・ミュージック・アワードのバンド・オブ・ザ・イヤーを受賞、「scary」で ベルリン・ミュージック・ビデオ・アワードの最優秀監督賞。
公式HP:https://shortparis.com【音楽のこだわり/キリル・セレブレンニコフ監督 コメント】
この映画では、音楽がとても重要な役割を果たしている。楽曲は、撮影開始前から選んでいた。観る人に、エディ(エドゥワルド・リモノフ)の頭の中で流れている音楽を感じて欲しかったから。ロシアのグループ、ショートパリスの協力でトム・ウェイツ、ルー・リードやザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドなんかの名曲を再解釈してみた……現代的な風味を加えたんだ。
『リモノフ』は9月5日(金)より全国公開
『リモノフ』
2020年、エドワルド・リモノフ死亡。そのニュースはロシアのみならず世界中に衝撃を与えた。詩人にして革命家、亡命者であり兵士。幾つもの顔を持つ彼は、ソビエト連邦下のロシアに生まれ、詩と反骨精神を武器にモスクワ、ニューヨーク、パリへと渡り歩いた。名声と自由を夢見て亡命し、恋人エレナとともに辿り着いた“自由の国”アメリカでは、孤独と挫折に打ちのめされながらも、自らの言葉で世界と闘い続けた。ホームレス、執事、作家、国家ボリシェヴィキ党党首──暴力と詩、愛と怒り、思想と行動のはざまで世界を挑発し続けたその姿は、称賛と危険視の両極で今なお語り継がれる。ソ連崩壊、ユーゴ紛争、ロシアの愛国主義の台頭──激動の時代の只中で彼が愛し、信じ、裏切られ、それでも書き続けたものとは何だったのか。なぜ彼はロシアの地に舞い戻ったのか?実在した“希代のカリスマ”の激動の軌跡を、圧巻の映像ともに描き出す、愛と破滅のバラード。
主演:ベン・ウィショー
監督:キリル・セレブレンニコフ
原作:エマニュエル・キャレール
| 制作年: | 2024 |
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2025年9月5日(金)より全国公開