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「涙なしで見られない」「ティッシュが必要」「バンド名ほど“シンプル”じゃない」ポップ・パンクの伝説を追うドキュメンタリー

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ライター:#BANGER!!! 編集部
「涙なしで見られない」「ティッシュが必要」「バンド名ほど“シンプル”じゃない」ポップ・パンクの伝説を追うドキュメンタリー
『シンプル・プラン:群衆の中の子供たち』©Amazon MGM Studios
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多様な変遷を遂げた音楽ジャンル

自宅の地下室で練習していたバンドが1000万枚ものCDを売上げ、プライベートジェットでツアーする人気バンドに……。そんな夢のようなキャリアを築いても、すぐに忘れ去られてしまう。ポップ・パンク激動期とも言える2000年代前後は、そんな時代だった。

90年代のグランジ・ムーブメントと交差しつつ入れ替わるような形で爆発的に盛り上がった、いわゆるメロディック・パンクと呼ばれる音楽シーン。日本でも多くのバンドが全国各地から登場し、のちにメロコア・バブルなどと揶揄されるほどのムーブメントとなったが、それは今では考えられない規模の熱狂だった。

しかしブームが大きければ大きいほど反動も避けられず、2010年に差しかかる頃には多くのメロコア・バンドが表舞台から姿を消すことになる。それは世界的にも同じだったが、日本の一部ネット上ではバンドという活動形態自体を“オワコン”と腐すような声もあった。だが、それが(当然ながら)大きな間違いであったことは現在の音楽シーンが証明している。

もちろんブームの持続云々に関係なく活動を続け、いまだ多くのファンを抱えているアーティストも少なくない。そして、“あの時代”に青春を過ごした人々の中には、<永遠のアンセム>として脳内で鳴り続けるメロディック・パンクの楽曲たちが、今ふたたび若い世代に支持されていることに驚くとともに、じんわりと喜びを感じているだろう。

「もっとも成功したポップ・パンク」その成功と苦難

そんなメロディック・パンク、ポップ・パンクシーンの中で、もっとも成功したバンドの一つが<シンプル・プラン>だ。カナダはモントリオール出身の4人組で、NOFXやオフスプリング、グリーン・デイといった80~90年代から活動する人気バンドよりも少し下の世代。音楽性もよりポップかつ普遍的で、それゆえに熱烈なパンクキッズからは忌み嫌われいるフシもあった。

ただ、その普遍性こそがシンプル・プランを世界的なバンドに押し上げた大きな要因であることは間違いない。パンク特有の反体制なものから、思春期に抱きがちなエモい葛藤(恋バナとか)を盛り込んだ歌詞へ。良くも悪くも等身大のメッセージは幅広い層の心をつかみ、デビュー直後に来日公演を行うほどの人気を得た。

そんなシンプル・プランの前身バンド時代から、ふたたび大規模な世界ツアーを行った現在までを交互に映し出すドキュメンタリー『シンプル・プラン:群衆の中の子供たち』が現在、プライムビデオで配信中。本作は、往年のファンにとっては待望の日本語字幕付き配信であり、SNSのミームで彼らを知ったリバイバル世代にとっては当時の空気感を知ることができる貴重な資料映像でもある。

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