「ダウナー青春映画の名作」「音楽も完璧」記憶に焼きつく思春期のミステリー『ヴァージン・スーサイズ』
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名作『ヴァージン・スーサイズ』の音楽
ソフィア・コッポラ監督の『ヴァージン・スーサイズ』(1999年制作)を当時リアルタイムで鑑賞した映画ファンは、その衝撃を忘れることはできないだろう。ソフィアの長編デビュー作だが、ストリートからハイブランドまでファッション方面で彼女を見かけていた世代にとっては、そのセンスに納得感もあった。
編集部私物
そして音楽業界での交流やミュージックビデオの監督としてソフィアを知る者は、『ヴァージン・スーサイズ』を観てウォルト・ミンクやフレーミング・リップスのMVを思い出しただろう。スパイク・ジョーンズも関わっていた彼女のMV仕事には、すでに本作につながる要素が散りばめられていた。
70年代のアメリカ郊外を舞台にした『ヴァージン・スーサイズ』はビジュアルデザインから劇中の衣装、フィルムの質感まで、すべて完璧に見えた。そして何より音楽が完璧だった。仏デュオ、AIRが手がけた「Playground Love」は映画音楽史に残る名曲であり、彼らを世界的アーティストに押し上げた最高傑作の一つでもある。
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