「ハリウッドの人々、どうか黙っていないでください」アカデミー賞最有力『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』本編映像
アカデミー賞を“受賞すべき”ドキュメンタリー映画
パレスチナ人とイスラエル人の若手監督による衝撃と奇跡のドキュメンタリー映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』が、2月21日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、シネ・リーブル池袋ほかにて全国公開となる。本年度アカデミー賞®長編ドキュメンタリー賞にノミネートされ、受賞最有力との呼び声も高い注目作だ。
『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』©2024 ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA
本作は、ヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地区<マサーフェル・ヤッタ>の住民たちが力を合わせ20年以上占領に抗い続けてきた歴史にも触れながら、イスラエル軍がパレスチナ人に対して長年行ってきた占領政策の本質と実態に肉薄。現在パレスチナが置かれている過酷な状況を知るという意味でも必見の作品である。
このたび、そんな本作の本編映像が解禁。イスラエルによる占領や破壊行為に、“撮影”することで抵抗を続ける監督の訴えが観る者の胸をえぐる映像となっている。
『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』©2024 ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA
現在進行形の入植植民地主義
この本編映像は、イスラエル軍や入植者による破壊と占領が続くマサーフェル・ヤッタで生まれ育ったバーセル・アドラー監督が撮影し、SNSなどで発信を続けてきた映像が分かりやすくつなげられたもの。ある朝突然、イスラエル側の命令によりパレスチナ人の車両の通行が禁止になったり住居が取り壊される様子を捉え、現地の住民による抗議の行進の様子のほか、バーセルが自身の思いを語る場面、住民たちに「水一滴ではダメでも、しずくが続けば変わる」と諦めないことの大事さを伝える様子が切り取られている。
『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』©2024 ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA
「どこが壊されるのか分からない」というバーセルの言葉の通り、イスラエル軍や入植者達がいつ何をするのか全く分からず、バーセルたちにできるのは声をあげ、撮影することだけだった。そして、SNS発信のために付けられた<“今”起きていること!><ブルドーザーが来た!><なぜ誰も声を上げない?>といった彼の懸命の訴えのテロップは、観る者の胸をえぐる。
▶バーセル・アドラー監督のInstagram:@basilaladraa
「イスラエル人とパレスチナ人が、本当の平等の中で生きる道を問いかける」
監督のバーセルはマサーフェル・ヤッタという場所について、故郷への素直な思いを口にする。
マサーフェル・ヤッタは農民のコミュニティです。ここの人々は農作業をしながら生活していて、土地と深く結びついています。私は生まれてからずっとここに住んでいるので、故郷だと心から感じられる唯一の場所であり、都会よりもここでの生活が性に合っている気がします。
私がただ強く願うことは、私たちの土地を奪う軍事占領や暴力的な入植がなくなり、ここで家族と一緒に普通の生活を送れるようになることです。私は近所の皆のことや、この場所特有の雰囲気を心から愛しています。だからこそ、それらが失われようとしていることが恐いのです。村の人々がいなくなり、マサーフェル・ヤッタがなくなってしまうことが。
『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』©2024 ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA
またバーセルは、「私とハムダーン(本作の監督のひとりでマサーフェル・ヤッタ在住)は成人してから人生のほとんどの時間を、村人を追い出そうとするイスラエル軍の破壊行為を記録することに費やしてきました」と明かす。4人の共同監督が本作のために撮影した映像は2000時間以上に及ぶとのことで、彼らは共同で声明も発表している。
本作を共同制作した理由は、マサーフェル・ヤッタで今まさに進行しているパレスチナ人の強制追放を阻止し、現代にもはびこるアパルトヘイトの現実に、壁の両方から、不平等を映し出すことによって抵抗したいからです。
本作の核心にあるものは、イスラエル人とパレスチナ人が、この地で、抑圧する側とされる側ではなく、本当の平等の中で生きる道を問いかけることです。
『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』©2024 ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA
『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』
ヨルダン川西岸地区のマサーフェル・ヤッタで生まれ育ったパレスチナ人の青年バーセルは、イスラエル軍の占領が進み、村人たちの家々が壊されていく故郷の様子を幼い頃からカメラに記録し、世界に発信していた。
そんな彼のもとにイスラエル人ジャーナリスト、ユヴァルが訪れる。非人道的で暴力的な自国政府の行いに心を痛めていた彼は、バーセルの活動に協力しようと、危険を冒してこの村にやってきたのだった。同じ想いで行動を共にし、少しずつ互いの境遇や気持ちを語り合ううちに、同じ年齢である2人の間には思いがけず友情が芽生えていく。しかしその間にも、軍の破壊行為は過激さを増し、彼らがカメラに収める映像にも、徐々に痛ましい犠牲者の姿が増えていくのだった――。
監督:バーセル・アドラー、ユヴァル・アブラハーム、ハムダーン・バラール、ラヘル・ショール
| 制作年: | 2024 |
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2025年2月21日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、シネ・リーブル池袋ほか全国公開